上林「思ったより打てたな、と」

　一方、打線に目を向けると柳田悠岐外野手（ソフトバンク）のド派手な活躍の陰に隠れたが、上林誠知外野手（ソフトバンク）に確実に使える目処が立ったことも大きい。

　上林は筒香嘉智外野手（DeNA）の辞退による代替出場だったが、第1戦で9回に代打で起用されて中前安打を放ち二盗と逆転劇の口火を切ると、残り5試合は全試合で先発出場して安打をマーク。21打数10安打の打率4割7分6厘という大活躍だった。

「思ったより打てたなと感じた。自信になりました」

　多くの選手がメジャーの投手のボールの強さに、インパクトで当たり負けしていたが、上林はきっちり芯で捉えて引っ張っても、逆方向に打っても強い打球を打てていた。

「あまり表に出さないけれど熱いものを持っている。今回の活躍を自信にしてほしい」

　こう評価した稲葉監督にとり、打者ではこのシリーズ最大の収穫だったはずだ。

「柳田の2番」も代表ではアリ！

　起用面でいえば2年後の4番候補である西武の山川穂高内野手、巨人の岡本和真内野手に日の丸の「4番」を経験させたのも計算づくのことだった。

「普段とは全く違うプレッシャーを感じた」（山川）

「いつもとは違う責任の重さを感じながら打席に立った」（岡本）

　指揮官の起用の意図もそこだった。

「経験するのが一番大事。結果はともかくこの場を経験して、どういうプレッシャーでジャパンの4番がどういうものかを感じてくれるだけで良かった。それをあとは本人たちがどう活かしていくかは来年以降、楽しみにしていきたい」

　もちろん筒香や柳田も2年後の4番候補であることは間違いないが、こうした若手が成長することで打線編成にはオプションが増えるはずだった。

　そういう意味で1つだけ注文があるとすれば、オーダー編成にもう少し幅があっても良かったのではないか、ということだ。

　一番のポイントは2番打者ではなかったかと思う。

　菊池涼介内野手（広島）が4試合で源田壮亮内野手（西武）が2試合。これがこのシリーズでの2番打者での起用だ。

　日本的なつなぎの「2番」というイメージではぴったりの2人だが、例えば試して欲しかったのは上林や、もうひとつ突っ込んで言えば柳田の2番というのも代表ではありではないかと言うことだった。

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