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DeNAドラ2の株がこの秋、急上昇。
伊藤裕季也に漂う新人王の予感。
posted2018/11/21 08:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
kyodo News
立正大学のキャプテン・伊藤裕季也のプレーにはしっかりとした裏付けがある。
打撃、走塁、そして守備。
グラウンドにおけるすべての事柄において、彼はぬかりない準備を整え、試合に臨み、そして結果を出す。
「準備次第で結果は変わる」
これは、立正大学・坂田精二郎監督がこの4年間言い続けた言葉だが、伊藤をはじめとした立正大学の選手たちはそれに対して忠実に準備して過ごしてきた。
10月25日、東都大学野球1部優勝決定戦。この試合でも、彼は2回に回って来た第1打席で先制ソロを放った。
「(優勝決定戦が)いつもと違うのはやる前から分かっていましたし、絶対に力みや焦りが出てくると思っていました。なので、その状況でのバッティングを試合前の練習から想定して準備してきました。どれだけ『力まずに、焦らずに』やれるかを考えて、今日はできたのかなと思います」
野村克也氏の指導を受けた監督。
どんなときでも俯瞰的に自分を捉えられるタイプだ。試合後の彼のコメントを聞くと、バッティングの意図について、しっかりとこちら側にも伝えてくれる。
「監督からはいつも『少し泳いでいるなと思ったときはスライダーを狙って、タイミングも引きつけるように』と言われています。ひとつのヒントとして捉えているので、凄く救いにもなっています。監督の一言で割り切れる部分もあるので」
そう言って、監督への感謝を示した。
坂田監督はシダックスで過ごした社会人時代、野村克也氏の指導を受けている。そこで学んだ「ID野球」は立正大学の指導にも活かされている。選手はグラウンドで結果を出すことで少しずつ自信を深め、野球を知る楽しさを実感している。伊藤もその1人だ。