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侍ジャパンの2番に柳田悠岐は?
もっと大胆な打順のオプションを!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2018/11/19 16:00
そのフルスイングは世界でも通用した! 柳田悠岐の活躍は、日本シリーズから日米野球まで、すべてで目撃された。
国際試合での審判員、傾向と対策。
国際試合では、他国の審判員のボークの適用が、日本に比べるとどちらかといえば緩めで走りにくいという現実がある。
「特に左投手の場合は日本ではほぼアウトのけん制でもボークをとられない。ただ右投手の場合はけん制のクセやクイックの間合いを測ることで十分に走れると考えています。走者が二塁に行けば相手投手にはプレッシャーもかかるし、少なくとも走る姿勢を見せることで配球や制球にも影響が出ることもある」
いかに打者有利な状況を作り出すか。そのための侍ジャパンの武器が足を絡めた機動力という訳である。
「スモールベースボールではなくスピード野球」
稲葉監督がこう掲げるように、小技というよりはスピード、機動力という大きな武器を前面に押し出した野球ということだ。タイプの違う様々なチームを相手にしても、日本がアドバンテージを得るための重要な方法論で、それをメジャーリーガー相手に試せたことに意義はあった。
投手では初代表の若手も活躍。
一方の選手起用では、選手たちに有形無形の経験を積ませる意図が強く出たシリーズでもあった。
球数制限があり、基本的には順番も事前に決まっていた投手陣に関しては、個々の経験を重視した起用が目立っている。
「腕を振って怖がらずに勝負してくれたのが良かったと思います」
その中で稲葉監督が投手陣に与えた課題は、インコースへのピッチングだった。
「ピッチャーはインコースを頑張って投げてくれていたので、変化球、チェンジアップを含めて(相手打者が)振ってくれていたというのを感じていたと思います。なので、インコースの重要性を選手は感じてくれたと思います」
先発陣ではメジャー球への対応からWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では代表漏れした岸孝之投手(楽天)が、五輪で使用される世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の公認球では好投したのが収穫。また上沢直之投手(日本ハム)やアンダースローの高橋礼投手(ソフトバンク)ら初代表の若手がしっかりと爪痕を残せたのも、今後の代表の構成で意味は大きかったはずだ。