プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人打線を「プラン通り」に抑えた。
エース大瀬良大地、勝利以上の仕事。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/10/18 12:15
大瀬良大地は今季15勝を挙げて、巨人の菅野智之と最多勝タイトルを分け合っている。
9月30日の東京ドームでの記憶。
田中への初球は137キロのカットボール。2球目も139キロのカットボールが外角に外れて2ボールとなったが、これは大瀬良にとっては計算ずくだった。
「やっぱりファーストステージで色々とやってきているのは分かっていましたから。自分の最後の対戦のときも足を絡めてやられているので、探りをいれながらのピッチングでした」
9月30日の東京ドームでの対戦だ。同点の3回無死一塁で同じ田中に左翼線にエンドランを決められて一気に一塁走者の生還を許した場面があった。
大瀬良の頭にあったのはその場面だ。
巨人打線の勢いが止まった瞬間。
いまの巨人は簡単に送りバントでは来ない。
実際にファーストステージでも同じような場面でいきなり盗塁をしかけてきたり、初球エンドランと大胆采配が目立ったことは、インプット済みだった。
そのためボールを長く持って、なおかつ牽制を挟み、慎重に相手の動きを探る。決して簡単にストライクを取りにいかない中での2球だった。
いわば相手の動きを制するためのボール2つだったわけだ。
そうして1球は振らずに見てくることを確信したように、3球目は138キロの外角低めのカットボールでストライクを1つとり、カウントは2ボール1ストライク。
「必ず動いてくる」
バッテリーの想定通りに、ここで巨人が仕掛けた。
エンドランだった。しかし田中がバットを出したが、インコースに鋭く切れ込む139キロのカットボールにこれがファウルとなって、仕掛けは失敗に終わる。
そして最後に大瀬良は、これまた想定通りにインハイに144キロの真っすぐを投げ込んだ。
田中は詰まった二ゴロ併殺に打ちとられ、巨人打線の勢いはここで止まった。