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菊池雄星がSBに打たれる理由とは。
キーワードは「カットボール」。
posted2018/10/18 11:40
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
CSファイナルのために用意されたメットライフドームに隣接するプレスルームのモニターで試合を眺めていると、この日の殊勲となった川島慶三のコメントが聞こえてきた。
「打ったのはカットボール。逆転された後だったので、もう1回逆転できてよかったです」
4回表のことだ。
1点を追うソフトバンクは、相手先発・菊池雄星から先頭のデスパイネが中前安打で出塁、中村晃、松田宣浩のふたりが走者を進められなかった。しかし2死から8番の西田哲朗が右翼前安打でチャンスメーク、続く甲斐拓也が粘って四球として、川島を迎えた。
1ボールからのストレートがアウトコース低めにややはずれた後の3球目。川島は菊池のスライダーをとらえると、左翼前に弾き返したのだった。
この逆転打で勢いに乗ったソフトバンクは、続く上林誠知、グラシアルにもタイムリーがでて、一気に5得点を挙げて試合の大勢を決めた。
2死一、二塁から甲斐が粘って選んだのがスライダーなら、川島、上林、グラシアルが打ったのも全てスライダーだ。
ソフトバンクが菊池に強い理由。
これまでの9年間で13勝1敗とカモにしてきた西武のエース・菊池を今回も粉砕。改めて、ソフトバンク打線の脅威を感じた。
なぜ、ソフトバンクは菊池を打てるのだろうか。
ソフトバンクと菊池の対決について語られてきたのは「菊池が苦手なソフトバンク」といった、菊池側からの視点ばかりだった。
しかし逆に、ソフトバンクが菊池を得意にしている理由もあるはずだ。