プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人打線を「プラン通り」に抑えた。
エース大瀬良大地、勝利以上の仕事。
posted2018/10/18 12:15
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
リーグ優勝を果たした1位チームがクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージを戦う難しさを、かつての巨人・原辰徳監督はこんな風に表現していた。
「相手はファーストステージで勢いがついてきている。こちらはシーズンからの空白期間があって実戦勘にブランクがあるので、どうしても最初に受け身になりがちになる。そこでどう早くがっぷり四つに組み合えるかなんです。
相手の勢いを受け止めて、胸と胸を突き合わせて四つに組めれば、そうそう負けることはない」
要はファーストステージで一気呵成になっている相手チームの勢いに、どう楔を打ち込めるか。それがファイナルステージ初戦の重要なポイントになるということだ。
特に今年のセ・リーグは、待ち構える広島にとって、非常にやりにくい戦いになっているはずなのである。
10月3日の高橋由伸監督の辞任発表から、巨人のチームのムードも監督自身の采配も、憑き物が落ちたように大きく変化している。
実際にヤクルトとのファーストステージ初戦では、シーズン中にはみられなかった機動力を使った大胆采配が目立ち、それに選手も応えて通算8連敗中だった小川泰弘投手をKO。第2戦ではまさかまさかの菅野智之投手のノーヒットノーランでの勝ち上がりだ。
「高橋監督と1試合でも長く野球がしたい」
そんな惜別の想いで加速した巨人の勢いを、だが、がっちりと受け止めたのが広島のエース・大瀬良大地投手のピッチングだった。
すべては初回の攻防だった。
巨人の勢いを止めた「5球」。
1回の巨人の攻撃。
先頭の坂本勇人内野手が1ボール2ストライクから、大瀬良の152キロのストレートを中前にはじき返していきなりチャンスを作る。
そこから2番・田中俊太内野手への5球をめぐる攻防が、巨人の勢いを止める大きな防波堤となるものだったのだ。