“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
イニエスタへのファウルと負けん気。
湘南・齊藤未月はU-19世代の闘将。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/09/13 17:00
逸材がそろうU-19世代にあって、齊藤未月のような闘将タイプはどのような成長曲線を見せるのだろうか。
曹監督「代表に集中してやれ」
湘南は今季、ルヴァンカップで好調だ。準々決勝ではセレッソ大阪を相手にホームで3-0、アウェーで2-2と、クラブ史上22年ぶりとなるベスト4へと駒を進めたのだ。
齊藤も、リーグ戦では直近4試合連続で先発フル出場し、チームも上向きになってきた時期だっただけに、代表合宿のための離脱は少しだけ後ろ髪を引かれる想いがあった。
「正直に言えば最初は、チームとしても、個人としてもいい流れだったので、みんなと一緒にルヴァンを戦いたいし、もっと湘南で試合に出たい気持ちはありました。でも、ここで代表に選ばれることは凄く光栄なことです。そして一度抜けてチームに帰ったらもう居場所がないとか、出番がなくなっているようじゃ、この先プロサッカー選手として到底やっていけない。それに曹監督に言われた『一度チームのことは忘れて、代表に集中してやれ』という言葉を胸に刻んで、メキシコに行きたいと思えるようにもなりましたので」
そんな気持ちで臨んだメキシコ遠征では、メキシコ、ブラジル戦ともに後半からの出場。キャプテンでありながら、彼はまだ影山雅永・U-19日本代表監督の信頼を完全に掴みとっているわけではない。
「梅さんのリーダーシップが……」
「どんな状況でも常に自分を見失わずに、チームのために全力を尽くす。どんな状況でも結果を出すためには、私生活からプロらしく立ち振る舞わないといけないと感じています。代表では試合に出ても、出ていなくても、最年長として自分の行動で周りに示す立場だと思っています。
僕は湘南では年下ですが、梅さん(梅崎司)がこうした自覚を持ってリーダーシップを発揮しているのは、誰の目から見ても明らかなんです。
僕もそういう存在になりたい。
それに湘南でも若いからといって、ただ梅さんのような選手の下にくっついて行くのではなく、自分が引っ張っていくプレーや言動をしていくことが大事だと思ってやってますので」
立場は自分次第で変えられる。だからこそ、変えてはいけないものもある。
自分の武器である「闘争心」をチームとしてプラスに作用させる能力で、齊藤未月はU-19日本代表、湘南と2つのチームで自らをブランディングしているのである。