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ムバッペ以外もロサーノ、ゴロビン。
ロシアW杯で評価を高めた新星たち。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byGetty Images
posted2018/07/04 08:00
ドイツを初戦から奈落の底へと叩き落としたメキシコのロサーノ。ビッグクラブも放っておかないだろう。
ロシアを支えるゴロビン、チェリシェフ。
延長、PK戦の末、歴代優勝国のスペインを破り、ベスト8に進出したロシアでは、22歳の攻撃的MFアレクサンドル・ゴロビンが「W杯史上最弱の開催国」などといった大会前の低評価を覆す立役者となっている。先行していたユベントスをチェルシーが追い抜いたとも言われているが、いずれにせよ今夏のメガクラブ移籍がほぼ確実だ。
開催国躍進の立役者はゴロビンだけではない。サウジアラビアとの大事なグループリーグ初戦、負傷者に代わって24分から途中出場したデニス・チェリシェフは、ロシアを波に乗せる2ゴールを挙げている。
1990年12月26日生まれのチェリシェフは、プロサッカー選手だった父親がプレーしていたスペインで育ち、父親が助監督を務めたレアル・マドリーの下部組織で育成された過去を持つ。2012年11月には国内カップ戦のコパ・デル・レイに途中から出場し、トップチームデビューした。当時の監督はジョゼ・モウリーニョだった。
右SB、マリオ・フェルナンデスも不可欠。
将来を嘱望されたチェリシェフの大成を阻んできたのは、怪我だったとも言えるだろう。レンタルでセビージャに移籍した'13年9月以降の4年間は、度重なる故障の影響で断続的に2年近くの欠場を強いられた。セビージャからビジャレアル、バレンシア、再度ビジャレアルと渡り歩き、'16年夏にはR・マドリーが保有権を手放している。
「200%の力を出す」
そう意気込んで臨んだ決勝トーナメント1回戦のスペイン戦には61分から出場し、延長戦を経てロシアの4人目としてPK戦に登場すると、重圧の掛かったそのキックを左足で冷静に決めている。
ロシアの右サイドバック、マリオ・フェルナンデスもまた、スペインからの金星に欠かせなかった。大会を通して無敵艦隊の中心となっていたイスコを、そして後方から攻め上がってくるジョルディ・アルバを慎重にケアしながら、限られた攻撃機会には積極的に攻め上がった。さすがに終盤は疲労を覗かせながら、途中から出てきたアンドレス・イニエスタへの対応を含め、120分間破綻のない守りを見せた。