フランス・フットボール通信BACK NUMBER
サッカー選手がリベリア大統領に!?
ジョージ・ウェアが政権奪取間近。
posted2017/10/26 11:00
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph by
Bernard Papon
この10月15日、リベリア大統領・選挙管理委員会は、10月10日におこなわれた大統領選挙の第1回投票で、1995年のバロンドール受賞者であるジョージ・ウェアと、現副大統領のジョゼフ・ボアカイの両名が、11月7日におこなわれる決選投票に進んだことを発表した。得票率はウェアが39.0%、ボアカイが29.1%で、どちらも過半数には達しなかった。
現職のエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領は、アフリカ初の民選女性大統領でノーベル平和賞受賞者でもあるが、任期満了(2期)により再選はできない。'05年の選挙でサーリーフに敗れたウェアが当選すれば、長く内戦に苦しんだリベリアでは史上初の平和的な政権移譲となる。
投票当日の10月10日に発売された『フランス・フットボール』誌では、フランス屈指のアフリカ通であるフランク・シモン記者が、選挙に臨むウェアをレポートしている。どうしてウェアは、政治の世界に身を転じたのか。いったい彼は何を目指しているのか。そして当選の可能性は……。
かつてのチームメイトたちが対立候補のボアカイを支持しているように、状況は決して単純ではない。決戦投票を前に、ウェアとリベリアをめぐる動向を明らかにする。
監修:田村修一
今年の大統領選ではウェアが大本命とされている!
かつてパリ・サンジェルマンとACミランに在籍し、1995年のバロンドール受賞者でもあるジョージ・ウェアは、10月10日に第1回投票がおこなわれるリベリア大統領選挙の候補者でもある。2度目の出馬となる今回は、彼が本命と言われているが……。
火曜の早朝から、200万人に及ぶリベリアの有権者たちは投票へと向かう。
首都のモンロビアからコートジボワール国境に隣接するハルペルまで、国中が選挙をめぐる熱狂に包み込まれる。
全土に疲弊をもたらした内戦の終結から14年。3度目となる今回の選挙には20人以上が立候補で名乗りをあげた。
なかでも話題の中心となっているのがジョージ・マネ・オポング・ウスマン・ウェアである。
トネール・ヤウンデをはじめモナコやパリSG、ミラン、マルセイユなどで活躍したウェアは、第25代大統領に最も近い位置にいると言われている。当選した暁には、サッカー選手としては初の国家元首の誕生である。