リバプールの最優先事項はCB。

　そして最優先事項は、センターバックである。ビルヒル・ファンダイクの負担を軽減する一線級を、是が非でも獲得しなくてはならない。

　デヤン・ロブレンはミスが多すぎで、ジョエル・マティプはすべてにおいて“準ファンダイク”だ。ラグナル・クラバンはスピード不足で、ジョー・ゴメスは若すぎる。ロブレン以下の4選手に競わせるプランも考えられるとはいえ、チーム創りの基本は後ろからだ。ワールドクラスの名手が欲しい。

　今シーズンのシティが守備陣の大胆な入れ替えを図ったように、リバプールも補強ポイントは明らかだ。中盤センターとCBの一級品を獲得することによって、来シーズンのリーグ優勝へ大きく一歩近づけるだろう。

　シティはグアルディオラ監督、フアン・ソリアーノCEO、チキ・ベギリスタイン強化担当責任者が意見をすり合わせ、昨夏の補強プランが実現している。上層部と現場の一体感は、あらゆる組織が見習うべきだ。

アーセナルとチェルシーは岐路に。

　さて、ロンドンの3チームがそれぞれの転機を迎えようとしている。

　ピエール・エメリク・オーバメヤンとヘンリク・ムヒタリアンを軸とするアーセナルのパスフットボールは美しい。しかし、アーセン・ベンゲル前監督が攻撃にこだわりすぎたため、中盤と守備陣は優勝を争えるようなレベルに質量とも至らなかった。新指揮官の人選にかかわらず、復活までには長い時間を要するだろう。

　チェルシーも同様だ。オーナーのロマン・アブラモビッチが現場の意見を無視した強化を実行し、挙句の果てにチャンピオンズリーグの出場権を失った。すでに何人かの主力が退団に向けて動いているため、チームレベルの維持は難しい。

　それでもアブラモビッチは現場に介入するだろう。アントニオ・コンテ監督が留任するにせよ、新しいボスがやって来るにせよ、オーナーとの主導権争いが現場に悪影響を及ぼす危険度は例によって高い。

　それにしても……。カネでビッグスターを買いあさる短期的なチーム創りでのし上がったチェルシーが、さらなる経済力と長期的プランを誇示するシティによって主役の座から引きずり降ろされるとは、なかなか残酷な構図ではある。

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