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「10年後に会おう」と約束した年、
北京五輪戦士達がロシアW杯に挑む。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byGetty Images
posted2018/03/20 07:00
本田圭佑、長友佑都、香川真司……10年前の北京五輪から戦ったメンバーたち。彼らはロシアのピッチに立てるか。
北京五輪メンバーと仕事してないな。
一方、落選を糧にした選手も少なくない。例えば反町のチームでキャプテンマークを付けたこともある青山敏弘はぎりぎりで落選。だがW杯ブラジル大会のメンバーに選ばれた。
「トシ(青山)は、23人だったら選んでいたはずだった。きっと、恨みを持っている選手もいると思う。ただ、その悔しさをバネにフル代表に選ばれ、W杯に立って、それは嬉しかったよ。(李)忠成も良いときにアジアカップで優勝に導くゴールを決めてくれたな。リストの作成は本当に最後まで悩んだ」
「まあ……そういえば」
苦笑いを浮かべて反町は興味深いことを教えてくれた。
「今年で北京オリンピックから10年になるが、あのときのメンバー18人と一緒に仕事をしたことが一度もないんだ。1人もいない。それも不思議だな」
世代別代表監督を務めたメリットの1つに、クラブを率いた際にかつて招集した選手を引き抜きやすいことが挙げられるだろう。しかも反町は'85年から'88年生まれを中心とした選手の膨大なデータを蓄積している、北京五輪世代の日本人選手を誰よりも知る人物だ。
さらにいえば、反町は一度も現場を離れることなく、Jリーグで指揮を執ってきた。つまり18人のメンバーは、海外、Jリーグと舞台は違えど、日本サッカーの第一線を常に引っ張ってきたことを意味しているとも言える。
「辞めるやつが増えてきたな」
加えて反町は、一度でも招集した選手の動向はずっと気にしているという。
「渡邊圭二は早かった(2013年)、このオフは杉山浩太も……辞めるやつが増えてきたな」
北京五輪世代の代表格でありながら、本大会メンバーからは“落選”した平山相太も引退を決断した。「そうだな、ちょっと残念だな」と言葉少なに言った。
3月15日、マリ、ウクライナと対戦する日本代表のベルギー遠征メンバー26人が発表された。北京五輪に臨んだ18人のメンバーのうち、今回選出されたのは長友佑都、本田圭佑、森重真人の3人だった。ハリルホジッチ監督は、吉田麻也、香川真司は負傷中であることが招集外の理由であると説明している。
また岡崎慎司については、他のFW陣のテストを優先させたことを明かした。一方、北京五輪世代にあたる東口順昭、宇賀神友弥、槙野智章、小林悠が呼ばれ、W杯へのラストサバイバルに食い込んできている。