“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「俺は走れるようになったんだ!」
新潟・早川史哉、白血病との戦い。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/03/11 09:00
リハビリに励む本人のブログには、「明日も楽しむぞ! レッツトライ!!!」という言葉が。
病魔の恐怖とサッカーへの希望と。
「症状が出なければ良いという具合だったので、本当に難しかった。出てからじゃ遅いので。
やっぱり僕の中で『もうあんな苦しい思いをしたくない』という思いが強いんです。でも、それじゃいつまで経っても前に進むことができない」
治療が一段落したとは言え、自分との戦い、再発の恐怖との戦いは未だ続いていた。だが、彼の中にはそれでも前に進みたい強い理由もあった。
「入院中もそうでしたが、自宅療養中も多くの友達が来てくれたことが、自分の中で凄く大きかった。友達が来ると凄く楽しくて……。
僕自身、率先して人と話すタイプじゃなかったし、1対1で話す機会なんてなるべく自分から作らないようにしていたんです。でも、病気になってから人と話すようになったと思う。
友達と話をする楽しさで、生き甲斐を感じることができた。そんな会話の中で、やっぱりもう一度サッカーをやりたいとフツフツと思うようになったんです。もう一度あのピッチに立ちたい。サッカーを思い切りやりたい。サッカーは僕の生き甲斐でもあったんです」
アルビレックス新潟がリハビリを全面支援。
なんとかサッカー選手としての一歩を踏み出したい――。
退院して2カ月ほど経った9月、ついに彼はその一歩を踏み出すことができた。
もう一度、ゆっくり走るところから始めて、徐々にダッシュやラダートレーニングなどを取り入れ、今年に入るとボールを蹴ることができるまでになった。
そして、そうしたトレーニングの場所や機材を提供してくれたのは、アルビレックス新潟だった。