話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
湘南・松田天馬に漂うスターの予感。
曹監督も期待する“状況判断の鬼”。
posted2018/03/11 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
いつの時代もスター選手は前触れもなく、突然輝きを放つものだ。
湘南ベルマーレの松田天馬は今、その輝きを強烈に放ちつつある。
開幕戦のV・ファーレン長崎戦でいきなりJ1スタメンデビューを果たし、アシストで先制点を生んだ。
2戦目の川崎フロンターレ戦ではセットプレーから右足で押し込み、同点ゴールを決めた。
2試合で1ゴール1アシスト。
鹿屋体育大学から今季入団した(昨季は特別指定選手)ルーキーだが、曹貴裁監督のスタメン起用の期待に応え、まだ2試合ながらしっかりと結果を出した。どれだけ才能を持っていても、なかなか結果につなげることができない選手が多い中で、松田が持っている運の強さと将来性が感じられる。しかも結果の内容も良い。
アシストは、キレキレのドリブルから生まれた。右サイドでボールを受けた時、最初は味方の上がりを待とうと思っていたという。だが、相手を見て「イケると思ったので」とドリブルを仕掛け、翁長聖と田上大地のふたりをサッとかわして突破した。
そして、「GKとDFの間に早いボールを入れようと思ったんですが相手が対応して間に合わないし、中を見たらうしろに(味方が)2人いたんでマイナスに入れました」と、冷静に状況を判断し、イ・ジョンヒョプの初ゴールに結びつけた。
初ゴールは、コーナーキックから生まれた。アンドレ・バイアがペナルティボックスの中央で競り合うと、松田の足元にこぼれてきた。「中にポジションを取るのは初めてだったんですけど、うまく足元に入ってくれた」とそのまま蹴りいれた。
自分の判断でポジションを変えて決めた貴重な同点ゴールだった。
ボールに絡みながら、状況を判断する。
松田の良さはこの結果から見て取れるように、高い技術をベースにしたアグレッシブな姿勢と状況判断の良さにある。
ポジションはボランチ、シャドーと試合によって異なるが「ボールに常に絡む」ことを意識してプレーしており、それが松田の積極性を生んでいる。曹監督からは「ゴールに向かってチャレンジしろ」と言われているそうで、松田も「それが常に頭の中にあって」と指揮官の教えを忠実に守っていることがいい結果につながっているようだ。