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DeNAがBリーグ参入に期待する理由。
東芝から川崎BTを買収した勝算は?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/12/14 07:00
篠山竜青は、チームの経営権譲渡という難しい局面でも堂々と自らの言葉を口にした。この文化はブレイブサンダースが培ったものだろう。
300万が安い、という批判はナンセンスだ。
300万という金額が安いとか、バスケ界の価値をおとしめると批判する人がいるが、そんな批判はナンセンスだ。
300万円の意味は未来が決める。当然、ブレイブサンダースにかかわる人たちと、DeNAにはその未来を明るいものにする責任は伴うが、むしろ、川崎ブレイブサンダースにはこれから上っていくための要素が山のようにある。
まず、川崎市は“スポーツの街”になりつつある。ブレイブサンダースと良好な関係がある川崎フロンターレは、今年はじめてJリーグのタイトルを獲得した。フロンターレが川崎市と築いた関係性の土台が、ブレイブサンダースにとっても助けになったことは間違いない。
フロンターレの本拠地である等々力陸上競技場と、ブレイブサンダースの本拠地のとどろきアリーナは隣接している。
また、会場最寄の武蔵小杉駅の周辺が大きな発展を遂げている。駅周辺にはタワーマンションが雨後のたけのこのように建設され、大規模開発による人口の増加はすさまじい。等々力アリーナ、等々力競技場、武蔵小杉駅などがある神奈川県川崎市の中原区の人口は、今では東京都の渋谷区よりも多い。近年では神奈川県の市町村のなかで人口増加率がトップを記録している。
あるいは今なお、バスケットボール界に影響を与え続けている漫画『スラムダンク』の舞台は神奈川県。その作者である井上雄彦氏が影響を受けたという野球漫画の金字塔『ドカベン』の舞台も神奈川だ。
DeNAが川崎にチームをもつ「ねじれ」はむしろプラス。
DeNAベイスターズの本拠地である横浜市には、横浜ビー・コルセアーズというチームがある。かつてbjリーグで優勝したシーズンとタイミングをあわせるように経営危機に陥りながらも生きながらえて、Bリーグでも独自の進化を続けるチームである。
「横浜ビー・コルセアーズはなんといっても、エンターテインメントにすごくこだわったチームですね。私も36クラブ、色々なチームの試合を見に行きますけど、こんなに会場が一体感をもって、そしてチアの踊りも素晴らしいチームはない。たぶん、Bリーグでもナンバー1のエンターテインメント性だと思います」
そう話したのは、Bリーグの大河正明チェアマンである。
何より、DeNAが横浜と川崎にスポーツチームを持つという「ねじれ」は、見方を変えればブレイブサンダースとビー・コルセアーズによる神奈川ダービーが盛り上がる要素になるはずだ。