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DeNAがBリーグ参入に期待する理由。
東芝から川崎BTを買収した勝算は? 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2017/12/14 07:00

DeNAがBリーグ参入に期待する理由。東芝から川崎BTを買収した勝算は?<Number Web> photograph by AFLO

篠山竜青は、チームの経営権譲渡という難しい局面でも堂々と自らの言葉を口にした。この文化はブレイブサンダースが培ったものだろう。

横浜フリューゲルス、ベルマーレ平塚の悲しい記憶。

 神奈川とスポーツの歴史にも、ほろ苦い記憶がある。

 例えば、Jリーグ。発足初年度のメンバーである横浜フリューゲルスは、当時の親会社の経営不振に直面した。そして、横浜マリノス(現横浜F・マリノス)に吸収される形で、その姿を消した。その衝撃を今も覚えているサッカーファンは数多いだろう。

 そして、中田英寿氏ら多くの選手を輩出したベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)にも危機があった。実質的な親会社であるフジタが経営不振で撤退したことにより、市民球団になることを余儀なくされ、長く低迷した。

 だが、ベルマーレは逆境に抗った。フジタがその業績を回復した2017年、18年ぶりにベルマーレとの関わりを持つことになった。スポンサーとして同クラブのユニフォームに名を連ねたのだ。クラブに関わる者たちはこのドラマに沸き、その勢いに乗るかのようにチームはJ2優勝とJ1昇格を果たした。

 人々の心を打つストーリーや勝利によって、クラブにかかわる人も増え、歴史は作られていく。それはひとえにベルマーレが、吸収合併や消滅を選ばなかったからこそだった。

篠山キャプテン「東芝さんの愛を感じます」

 同じことは、ブレイブサンダースにも言えるのではないか。

 ブレイブサンダースの経営陣が変わることが発表された翌日、篠山はチームを代表して取材に応じた。東芝の社員として入社した経緯などをひとつひとつ丁寧に語りながら、こんな言葉を残している。

「色々な競技をみても、プロスポーツでオーナーが代わることはそんなに珍しいことでもないと思います。やはり、色々な面で変化をしていくことが求められるビジネスというか、そういうものだと思います。

 今回の件についても、会社が苦しい状態のなかで(チームの活動を)やめるというのではなくて、しっかりと次に支えてくれる存在を見つけてくれた。そこに受け渡してくれるというところは、東芝さんの僕らに対する愛を感じます」

 DeNAがブレイブサンダースの買収にともない、東芝に支払うのは簿価である300万円。今後も東芝の小向工場にある体育館を練習場所として、Bリーグで最も充実している食堂や身体のケア施設を含む選手寮も使用する。これから追加で支払われる金額は変わってくる。

【次ページ】 300万が安い、という批判はナンセンスだ。

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川崎ブレイブサンダース
横浜DeNAベイスターズ

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