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'22年W杯開催地カタールの無気力。
サッカー熱は皆無、観客はサクラ。
text by
クエンタン・ミュレールQueentin Muller
photograph bySebastian Castelier
posted2017/11/30 10:30
「カタール・スターズリーグ(QSL)」の試合は、いつもこんな感じの観客席だというが……。
カタール代表の非常に重要な試合にさえ、熱気が無い。
QSLの平均観客数は公式発表では5000人である。だがこの数字は大いに疑わしい。
ドーハでのフランス語ラジオ放送である「オリックスFM」でニュース等を担当するジャーナリストが、カタールにおけるサッカー熱の低さを告白した。
「2014年ワールドカップ予選の天王山、ドーハでの韓国戦を私はよく覚えている。前半は1対1で折り返したが、カタールは1対4で韓国に敗れた。選手がスタジアムを去るとき、出口で彼らを待ち構えるものは誰もいなかった。カタール代表の選手たちは互いに冗談を言い合いながら、それぞれの車で散って帰ったよ」
世界的有名選手がいるのに、なぜスタジアムに来ない?
常駐する高級ホテル「ケンピンスキ」のソファーに座りながら、クラブチーム「アル・ライヤン」の監督を務めるミカエル・ラウドルップは、今の状態がまるで定年前退職のようであることを隠そうともしなかった。
「スウォンジーの監督の後は、これまでとは違った生活を送りたかった。僕はここで平穏に生きる機会を得たんだ。ここでは生活のすべてがひとつの街の中で賄えるんだ。遠くへ移動する必要もないし何かを待つ必要もない。リーグの試合をするためにホテルを転々としながら、空港へ行き来することもない。プレッシャーとはまったく無縁の世界だ」
代表キャプテンのアルハイドスが、さらにカタールのサッカー文化に疑問を付け加える。
「最大の謎は、どうして誰もスタジアムに来たがらないのか、誰にも説明できないことだ。空調を完備した大きなスタジアムがある。ピッチも素晴らしく、その上でシャビはじめたくさんの国際的ビッグスターがプレーしている。なのにカタール人のファンたちは自宅から出ようとしない。すべては観客を喜ばせるためにやっているのに」