フランス・フットボール通信BACK NUMBER
'22年W杯開催地カタールの無気力。
サッカー熱は皆無、観客はサクラ。
text by
クエンタン・ミュレールQueentin Muller
photograph bySebastian Castelier
posted2017/11/30 10:30
「カタール・スターズリーグ(QSL)」の試合は、いつもこんな感じの観客席だというが……。
生粋のカタール国民は30万人しかいないので……。
最近になって、23人の代表選手中8人まで外国出身者を起用することが、国際的にも認められるようになった。だが、カタール生まれで現地でプレーしている選手でも、その誕生や居住の条件に対して厳格にカタールの法律が適用されたためにカタール国籍を持っていない者もいるという。
「“スポーツパスポート(スポーツ選手専用の国籍)”を持っているだけの代表選手が何人もいるんだ」とアルハイドスは打ち明ける。
「生粋のカタール人の数はとても少ない(およそ30万人)。それが事態を複雑にしている理由さ」
2013年、フランス人指導者であるジャメル・ベルマディがカタール代表監督(最初はユースチームの監督)になり、彼の尽力によりカタールは若い外国人選手を惹きつける国になった。
まずQSLでプレーし、その後スポーツ枠で帰化して代表に入る――。
QSLのクラブの選手が足りないために2010年にドーハにやって来たカリム・ブディアフ(フランス生まれの帰化カタール人)がまさにそれだった。
「そのとき僕は18歳で、ナンシー(フランス)でプレーしていた」とブディアフが当時を振り返る。
「プロになれる保証はまったくなかった。だからベルマディから来るように要請されたとき、躊躇なく承諾したんだ」
カタール代表になった外国人選手たちの本音。
アルナ・ディンダン、バカリ・コネ(ともにコートジボワール代表)とともに、若きボランチはカタールリーグで試合を重ねた。5年が過ぎて、彼は他の外国出身選手選手たちとともにカタール代表入りを果たした。
「それは国家的プロジェクトの一部で、僕が行く前からすでに発表されていた。すべてはつつがなく経過し、僕はここを本当の故郷のように感じ今はカタール人として暮らしている。ワールドカップにもきっといつか出場できると信じている」
ブディアフは自分の願いを実現しつつあるが、他の外国人選手たちにとってカタール代表は金銭と同義である。
カタールとブラジルを行き来するある代理人はこう語っている。
「カタールでプレーしているブラジル人選手は、カタールという国のためにプレーしているわけではない。純粋に金銭的な目的で代表に入っているだけだ」