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三十路を迎えたメッシに衰えは?
筋肉や関節より、心のケアが大問題。
text by
トマ・シモンThomas Simon
photograph byFerran Quevedo/Mundo Deportivo
posted2017/07/18 07:00
14歳の頃のリオネル・メッシ。すでにラ・マシアでのプレーは伝説になっていた。
「筋肉の衰え」よりも「関節の衰え」が問題だ。
「その微妙な数メートルの差を作り出すのは、スプリントでも長い距離を走ることでもない。試合の中でプレーをコントロールする術を、彼はすでに十分に身に着けている」(モラン)
そうはいうものの30歳という年齢には、異なる要因が別の方向から絡んでくる。パクレが説明する。
「それは関節の衰えだ。13年間にわたり高いレベルでプレーし続けた影響がここに現われる。軟骨や半月板が少しずつ損傷していき、やがてそれがパフォーマンスにも影響を与えるようになる」
それは内転筋への負荷となって現れるという。
「残念ながら彼はすでにそこを痛めている」とモランは語る。
「そのうえ年齢的なものも加わり筋力も低下して、怪我の危険は三重の意味で増える。
もちろんメッシが近いうちに負傷するわけではないが、可能性が増しているのは間違いない。だからテクニカル・スタッフには、これらの要因を考慮した的確な対応が求められる」
C・ロナウドはジダン監督の導きにより健全であり続けた。
メッシより2歳年上のクリスティアーノ・ロナウドは、一足先に同じ状況を迎えた。
ロナウドの場合、監督のジネディーヌ・ジダンがしっかりと保護して状況をコントロールしたことで、レアル・マドリーはチャンピオンズリーグ2連覇の偉業を達成できた。
パクレはいう。
「ジズーは状況を完全に掌握している。彼がロナウドを説得して、しっかりと休養をとったうえに、綿密な回復プログラムを実践させたのだろう。そこにはアスリートの身体への知性が働いている。
もちろんメッシにはそれが働いていないと言いたいのではない。そうではなくて、それも監督の才能のひとつということだ。それから医師としてもうひとつ言えるのは、私はバルセロナのメディカルチームをよく知っている。彼らは選手を緊密にサポートしている」