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三冠王、監督、GM時代の落合博満。
知られざる「オレ流の素顔」を読む。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byShigeki Yamamoto
posted2017/05/14 08:00
GM時代、12球団合同トライアウトの視察に来ていた時の落合。今季の不振で、氏の中日復帰を望む声もある。
槙原寛己が語った、驚くべき落合の素顔!
【『プロ野球 視聴率48.8%のベンチ裏』(槙原寛己著/ポプラ社/2011年3月)】
ご存知“ミスターパーフェクト”槙原寛己の著書タイトルは、もちろん'94年10月8日に行われた中日との同率優勝決定戦の驚異の平均視聴率から来ている。
あの試合、三本柱最年長投手として先発マウンドに上がったのが槙原、そして先制ソロアーチを放ったのが4番落合だった。
そんな長嶋巨人の主力を張った2人だが、春季キャンプでは槙原部屋の斜め前がFA移籍初年度の落合部屋。
いったい落合さんってどんな人なんだろう?
多くのチームメイトが固唾を飲んで夕食の会場で三冠王を待つが、待てども待てども姿を見せない。もしかして移籍したばかりで2階の宴会場で食事をするって知らないのかもしれないぞ。
部屋が近いこともあり、槙原が落合を呼びにいくことになる。
あまりにも異質だった、キャンプ中の落合の部屋。
すると、部屋の中から何やら話し声が。
まだ携帯電話も普及していない時代。
えっ誰かいるの? 福嗣君?
いやそんなわけないだろう。
思いきって扉を開けると、自室に携帯用のガスコンロを持ち込み淡々と話しながら鍋をする男の姿が。しかもその対面には誰もいない。気が付けば、部屋には仲居さん達が次から次へと高級食材を持ってくる。とんでもない量をひとりで食べて喋り、朝も夜も続くオレ流鍋にエア会話。
凄い、ほとんど変態である。しかも部屋の中には自分で持ち込んだ200冊以上のマンガ本が並んでいる。独特すぎるゴーイングマイウェイのキャンプ生活。ちなみに3億円プレーヤーの落合はしっかりチームメイトとは別の食事代を支払っていたという。