フランス・フットボール通信BACK NUMBER
現ブラジル代表監督は史上最高?
大連勝でW杯の悪夢を払拭中。
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph byThomas Santos/AGIF
posted2017/03/30 08:00
ロシアW杯予選において、4試合を残して大会出場を確定させたセレソン。チッチ監督の辣腕ぶりに、世界が驚愕した。
39歳の時、監督として奇跡の優勝を成し遂げる。
――当時のあなたはどんなタイプのミッドフィールダーでしたか?
「元々は6番(フランスではボランチをこう呼ぶ)というより8番(同攻撃的ミッドフィールダー)だった。でも繰り返し膝を怪我して守備的なポジションに下がらざるを得なかった。パスのセンスもあったしヘディングも強かったが、フィジカルはあまり強くなかった。スピードもなかったね」
――現役引退後はフィジカルコーチとアシスタントコーチを務めた後、カシアスで監督になってすぐ39歳でリオグランデドスル州のタイトルを獲得しました。レスターに匹敵する大番狂わせだったのでしょうか?
「まさにその通りで、当時は3つのビッグクラブがこの州のサッカーを支配していた。ロナウジーニョのグレミオとインテルナシォナル、パルマラットから財政サポートを受けたジュベントゥージだ。だから州選手権が始まる前は、4位で終えられたら大成功だと思っていた。
秘訣は何だったかって? クラブは私を2年間自由に働かせてくれた。ブラジルでは考えられないことで、私はひとつのプロジェクトを最後まで成し遂げることができた」
4人のセンターバックをDFラインに並べる奇策も。
――その後、グレミオやコリンチャンス、アトレチコ・ミネイロを経てインテルナシォナル('08~'09年)の監督に就任しました。ファビアン・ボリバルは、あなたほどロッカールームで尊敬された監督はいないと語っています。
「選手に敬意を払うのはとても重要なことだ。プレーで違いを作り出せる選手を尊重するのは簡単だ。だが、出場しない選手も、同じ扱いを受けるに値する。私はすべての選手に同等の注意を払い、彼らの言葉に耳を傾けた」
――ボリバルはあなたの戦術イノベーションも語っています。2008年のコパ・スダメリカーナ杯、対エスツディアンテス戦では4人のセンターバックをディフェンスラインに並べました。
「ファビオ・カペッロがユベントスで実践した4-4-2からアイディアを思いついた。
彼は本来ならCBのリリアン・チュラムを右SBに起用した。イタリアの守備哲学をそこから学び、3年後にアイディアがひらめいた。CBのレギュラーだったボリバルは、右SBでプレーすることを受け入れた。
強固になったディフェンスを武器に、われわれはコパ・スダメリカーナを制覇した」