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右目の視力を失っても「眼球が破裂しなかっただけ、僕の勝ちだな」…松本光平(32)を支える“異次元のポジティブ思考”とは

posted2022/03/15 11:01

 
右目の視力を失っても「眼球が破裂しなかっただけ、僕の勝ちだな」…松本光平(32)を支える“異次元のポジティブ思考”とは<Number Web> photograph by AFLO

2015年初頭、オークランド・シティ(ニュージーランド)でプレーしていた松本光平は、練習試合で日本代表と対戦。本田圭佑らと記念撮影を行った

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松本光平

松本光平Kohei Matsumoto

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「左目が多少は見えているなら、サッカーできるんじゃないか?」――2020年5月、不慮の事故で右目を失明するというハンディキャップを背負った松本光平は、目の前の料理さえおぼろげにしか見えないような状況でも、持ち前のポジティブさを失うことはなかった。本人の著書『前だけを見る力 失明危機に陥った僕が世界一に挑む理由』(構成:宇都宮徹壱/KADOKAWA)より、決して折れることのない「しなやかなメンタリティ」の一端を紹介する。(全2回の2回目/前編へ)

再びクラブワールドカップ出場を目指して

 帰国してからは、病院から指定されたホテルで2週間の隔離期間を過ごしながら、手術前の診察をしてもらう日々が続きました。

 手術日は6月8日に決まって、先生からはこう言われたんです。

「きみの目は、どこの病院に行っても手の施しようがないけれど、私だったら治せる可能性がある。1%か2%だけど、ゼロではない。私は今まで、さまざまな奇跡を起こしてきた。可能性は極めて低いけれど、手術を受けるかどうかはきみ自身が決断しなさい」

 そう言われて、僕はこう思ったんです。本当は80パーセントくらいの可能性で治せるけど、わざと低く伝えることで「奇跡を起こした!」っていうパターンなのかなって。それで手術をしてもらうように、その場でお願いしました。

 眼球摘出の可能性もあったなか、たくさんの人たちに助けられて、ようやく名医に執刀してもらえるところまでたどり着いたんですからね。

 それで「サッカーはいつ、できますか?」って、さりげなく先生に聞いたんです。そうしたら「無理だよ」って、きっぱり言われました。「サッカーどころじゃないだろう」みたいな感じで。

 それでも僕にとっては、それこそが一番重要なことだったので、何度も聞いたんです。そうしたら、根負けした先生はこう言いました。

「サッカーができるか、できないかという質問に対して、私の立場としては『できない』と言うほかない。それでも、やるかどうかはきみ次第。だから最終的には、きみ自身が決めればいいことだ」

【次ページ】 眼球が破裂しなかっただけでも、僕の勝ち

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