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現ブラジル代表監督は史上最高?
大連勝でW杯の悪夢を払拭中。
posted2017/03/30 08:00
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph by
Thomas Santos/AGIF
フランス・フットボール誌3月21日号は、エリック・フロジオ記者によるチッチ・ブラジル代表監督のインタビューを掲載している。
2014年ワールドカップで地に落ちたブラジルを復活させ、威信を取り戻したチッチとはどんな人物であるのか。生の声をお届けする。
監修:田村修一
現ブラジル代表の監督とは何者か?
「わかるでしょう。彼が素晴らしいのは」
ブラジルサッカー連盟(CBF)の警備員は誇らしげに語ったが、われわれには説明の必要はなかった。2016年以来、ブラジル代表監督を務めている彼が、魅力的であるのはわかっていたからだ。誰からも尊敬され、恐らくはブラジルで最も有能な監督でもある。
“チッチ”の愛称で人々から親しまれているアデノール・レオナルド・バッチ(55歳)は、コリンチャンス(2010~'13)でほぼすべてのタイトルを総なめにした後、危機に瀕していたブラジル代表監督に就任した。
彼が指揮を執ってからのブラジルは、ワールドカップ南米予選で6連勝(記事が発表された3月21日時点で6試合17得点1失点。その後、現地時間の3月28日にパラグアイに勝って7連勝とし、ロシアW杯出場を確定させている)。
コウチーニョ、ガブリエル・ジェズス、ネイマールのトリオが奏でる攻撃のハーモニーは圧巻で、ブラジルは地元開催のワールドカップで失った誇りとアイデンティティ(準決勝でドイツに1対7の敗北)を取り戻したのだった。
ヨーロッパではまだ名前を知られてはいないチッチが、われわれのためにオフィスの扉を開いてくれた。
――ルイス・フェリペ・スコラーリがあなたの名付け親というのは本当ですか?
「その通りだけど、まったくの偶然でもあるんだ(笑)。当時、私は学校(コレジオ・エスダデュアル・ド・グァラニー)の15歳以下のチームでプレーしていた。スコラーリはカシアスのプロ選手であったと同時に、体育の教師でありまた15歳以下のチームの監督でもあった。
私の本当の名前はアデノールだけど、チームには同じミッドフィールダーで“チッチ”という愛称の仲間がいた。
私がカシアスのプロテストを受ける際に、スコラーリはスタッフに私の名前を間違って紹介した。それで私がチッチになってしまったんだ(笑)」