フランス・フットボール通信BACK NUMBER
現ブラジル代表監督は史上最高?
大連勝でW杯の悪夢を払拭中。
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph byThomas Santos/AGIF
posted2017/03/30 08:00
ロシアW杯予選において、4試合を残して大会出場を確定させたセレソン。チッチ監督の辣腕ぶりに、世界が驚愕した。
「それがロナウド。監督冥利に尽きたよ」
――その後、コリンチャンスではロナウドがチームにいました。
「就任したときは、“フェノメナ(怪物、超常現象)”ロナウドの監督になるのかともの凄く興奮した。彼ほどその名に相応しい選手はいなかった。まさに“フェノメナ”とはよく言ったもので、フィジカルは決してトップコンディションではなかったし膝に怪我も抱えていたが、それでも彼は他の選手たちと明らかに違っていた。
視野は広く決断も早い。フィニッシュはいうに及ばずパスの能力も傑出していた。1試合に3本のパスを受けるだけで、彼には十分だった。
1本目のパスでゴールを決め2本目でサポーターを唸らせる。そして3本目でパートナーに“キャビア(豪華なプレゼントの意)”を贈る。それがロナウドで、監督冥利に尽きたよ」
――あなたもすべてのタイトルを手にしました。リベルタドーレス杯、チェルシーとのクラブワールドカップ決勝……。
「エベレストを征服した。真摯に仕事をして、結果が後についてきた」
「ネイマールを抑えられるのは彼だけだった」
――コリンチャンス時代にはマルキーニョス(現パリSG)もいましたが、あなたはほとんど起用しませんでした。センターバックとしては小さすぎるというのが理由だそうですが。
「それは少し違う。彼を最初に見たのはサンパウロカップの決勝だった。もの凄いスピードで相手との間合いを詰めると、惚れ惚れするヨーロッパ式タックルでファールを冒すことなくボールを奪い取った。
(チームに加入してからは)17歳の彼をパルメイラスとのクラシコでボランチに起用した。2対0で勝った試合で、彼のパフォーマンスは素晴らしかった。続くサントス戦に向けて、私は彼に右SBの準備をさせた。ネイマールのマークに充てたかったからだ。ネイマールを抑えられるのは彼だけだった。
当時は1m78cmしかなかったが、今は1m83cmに伸びたのではないか? まだ成長の過程にある。中盤だろうがSBやCBだろうがポジションは関係ない。言えるのは優れた選手だということだ」