Number ExBACK NUMBER
長谷部誠“驚異の37歳”独占インタビュー 「現役引退したらやっぱり監督になりますか?」に「はい」と即答しない理由
posted2021/05/07 17:04
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Ryu Voelkel
5月6日発売のNumberは初の長谷部誠特集。その誌上で長谷部本人のインタビュー記事を担当しました。
筆者は今、長谷部と同じドイツ・フランクフルトに居を構えています。ドイツ国内は未だにコロナ禍によるロックダウンの最中で、街はまだ活気を取り戻せていません。でも、ここで暮らしを営む人々は全世界の方々と同様に明るい未来を信じ、この試練を乗り越えようと辛抱の時を過ごしています。
フランクフルトの市民にとって、コロナ禍の中でも活動を続ける地元クラブ、アイントラハト・フランクフルト(街の名前との混同を避けるため、以下アイントラハト)の勇姿は希望の光です。今季のアイントラハトはブンデスリーガのシーズン終盤戦でも上位を維持し、来季のCL出場権を得られる4位以内を目指して奮闘しています。そしてチームの中心には37歳の長谷部がいて、地元の方々はこの聡明な日本人に熱い眼差しを注いでいます。
「僕のパフォーマンスに自分でも驚いている」
Number誌上での長谷部のインタビューは昨年の同時期に実施して以来。当時の彼はクラブと1年の契約延長を交わした直後でしたが、言葉の端々に「今季」が最後の勝負になると捉えている節がありました。実際に2020-21シーズンが始まるとクラブが推し進める世代交代方針の影響もあって出場機会が減りました。しかし今年に入ってから、かつての本職ボランチの役割を再び与えられて鮮やかに復活。さらに1年の契約延長を勝ち取りました。
ここ数年の長谷部は、年齢によるフィジカルの衰えを理由として、活動エリアの広いボランチよりもフィールドプレーヤーの最後方、リベロのほうが自身の能力をより引き出せると考えていたようです。
しかし、実情は異なりました。今回のインタビューで、今季のプレーについて率直にこんな感想を述べています。
「自分自身も驚いているというか、また監督が僕を中盤のボランチで使おうと考えているとは思わなかった。それプラス、自分自身がそこで想像以上のパフォーマンスを出せている両方の驚きがありますね」
「フロントや代理人になる方が多いんじゃないですかね」
インタビューは約70分に及んだため、誌面では泣く泣く割愛した部分もあります。ここではその幾つかをご紹介します。
日本のサッカーファンの中には、現役生活を終えた長谷部が監督の道へ進み、ヨーロッパのクラブ、もしくは日本代表を率いる姿を見たい方も多いでしょう。僕もその一人ですが、彼自身はまだ将来の道筋を明確に決めていないと述べたうえで、監督以外にクラブサイド、いわゆるゼネラルマネジャーやスポーツディレクターなどの職務にも興味を抱いていると話します。