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プレミア4クラブのペップ争奪戦!
マンCのバルサ人脈が物を言うか。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2015/12/27 10:50

プレミア4クラブのペップ争奪戦!マンCのバルサ人脈が物を言うか。<Number Web> photograph by AFLO

現役最高の監督という評価をほしいままにしているグアルディオラ。プレミア上陸の日は近い。

ロマンもお金もあるが、モウリーニョも候補?

 サー・アレックス・ファーガソンが勇退してから2年半で、プレミア王者の称号ばかりかクラブのアイデンティティさえ失ったイングランド最大のクラブ。その復活劇を指揮するというロマンは、グアルディオラにとっても魅力的だろう。チームの既存戦力はマンCに劣るが、マンUブランドの金銭的体力は3年連続の大型補強にも耐え得るレベル。冴えないと評判の今季でさえ、9月までの第1四半期の売り上げとして前年比39%増の約230億円という数字を発表しているのだ。経営陣させその気になれば、ラストスパートでマンCの鼻先からグラルディオラをさらうことも可能と思われる。

 にもかかわらず2番手のままでいる背景には、そのフロント陣がファンハール体制の苦戦で実感したプレミア未経験監督に伴うリスクがあるのではないだろうか? であれば、ジョゼ・モウリーニョの線が現実的とする説にも頷ける。内容と結果のバランス感覚で双方が歩み寄りを見せれば、チェルシーで3度のプレミア優勝を果たしている指揮官を、明日にでも新監督の座に招くことができる。

チェルシーはオーナーが長年ペップにぞっこん。

 2度目のモウリーニョ解雇に踏み切ったチェルシーでは、オーナーのロマン・アブラモビッチが、バルセロナで一軍監督となった'08年当時からグアルディオラにぞっこんだ。チェルシーがクラブ史上初のCL王者となった'12年には、実際に招聘も試みている。今回も、そのラブコールを断られている事実や、来季自軍がCLに出場できない可能性は承知の上で、配下の経営陣に“ゲット・ペップ令”を発したとされる。

 金に糸目はつけないアプローチはオーナー公認。年俸1700万ポンド(約32億円)を提示する用意があるとされる。前任のモウリーニョもマンUでのファンハール年俸の倍額をもらっていたが、そのモウリーニョ年俸に9億円強プラスという超破格の待遇だ。

 チェルシーを「青いバルセロナ」にしたがっていたアブラモビッチにすれば、夢の監督人事。そのぐらいの出費は安いものなのだろう。加えて、ユースからの戦力発掘のスイッチを入れてくれそうな監督でもある。過去5年間で3度のFAユースカップ優勝という実績を見れば、一軍一歩手前までの育成は行われるようになったと考えられるが、モウリーニョは若手登用に消極的だった。

 グアルディオラにすれば、そのモウリーニョ前体制の後始末をした上、モウリーニョが実現したくてもできなかった長期の安定をチェルシーにもたらす可能性に、プラスアルファのやりがいを感じるかもしれない。両者は言わずと知れた欧州監督界最高峰の天敵同士だ。

【次ページ】 アーセナルではベンゲルの存在が障害に。

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