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それでも香川真司が期待される理由。
乾、清武、長友が語る“大きさ”とは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/01/16 11:25
パレスチナ戦で3ゴールに絡み、復調をアピールした香川真司。クラブでも苦しい時間を過ごす中でのアジアカップ参戦は、彼のキャリアにとっても大事な機会となる。
香川「得点に絡むだけではなく、ゴールを」
ただし、香川自身は満足していない。
「得点に絡むことが自分にとっては大事なことだが、点は取りたいし、取れるのと取れないとでは大きな差がある。シュートを増やさないといけないということも監督から言われている。ゴールは求められている」
イラク戦で、ゴールを取るためにやるべきプレーとして挙げていることがある。「パス&ゴー」だ。香川は「パスを出してからさらに前にランニングしていくことが求められる。それは自分の良さでもある」と高い献身性を求められることを歓迎している。要求が高ければ高いほど燃える。それは成功するアスリートに欠かせない思考だ。
香川に“活かされる”乾、香川を“活かす”清武。
香川とのコンビネーションプレーには、元セレッソ仲間の2人も期待を寄せている。乾は「真司は視野が広いし、動き出しを見てもらっている」と言う。香川には左右両足からの精度の高いキックがあり、低い位置からでもパス一本でチャンスを作る力がある。乾の心には、香川によって“活かされたい”という期待があるのだ。
一方、清武は「真司君とはいろいろ話し合った。真司君が動いてくれる分、自分がポジションを埋めたり、真司君にボールが入ったら後ろにサポートしたり、そういう役割が必要なのではないかと思う」と分析している。誰とでも高い親和性を発揮する清武は、主に香川を“活かす”立場をイメージしている。
そして、長友は言う。
「香川真司は日本の10番であり、エース。彼はどんどん課題をクリアしていくと思っている。真司は試合をやるにつれて良くなっていく。問題はない。イラク戦で決めますよ」
当の香川だが、今なお自戒を込めて口にする言葉がある。「僕にはワールドカップの悔しさがある」ということだ。周囲から多大なる期待を受け、自分でも大きな期待を持って臨んだブラジル大会。香川は日本の力になることができなかった自分を悔やみ、歯噛みした。
だからこそ、アジアカップという大きな大会で結果を残したいという気持ちが強い。「チームとして成長しながらアジアカップを勝ち抜き、強さをつけていきたい」と言葉に力を込める。