詳説日本野球研究BACK NUMBER
NumberWeb恒例、ドラフト指名予想。
12球団の上位指名は果たして誰だ!?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/10/22 10:40
10月18日、東京六大学野球の対立教大戦、大挙して押し寄せたスカウトの熱視線を集めた有原航平(早稲田大)。5月末以来の先発だが復活をアピール、ドラフト指名の行方は?
巨人は岡本和真、阪神、広島は有原航平が濃厚。
●セ・リーグ1位 巨人
セ・リーグで3年連続優勝を飾った巨人は、すでに超高校級スラッガー、岡本和真の1位入札を決めているようだ。今年のチーム成績はリーグ1位の防御率3.58にくらべて打率が.257でDeNAの次に低い。野手の1位指名は十分にあり得る。
若手の主力は坂本勇人以外では'08年1位・大田泰示にようやく一本立ちの気配があり、高校生野手を1位入札しやすい環境が出来上がっている。他球団に岡本を1位入札する動きがないので、1位入札した時点で岡本の獲得は決まりだろう。
捕手も補強ポイントと言われるが、昨年小林誠司を1位指名で獲得し、期待に応えているので2年続けて捕手を上位指名することはない。もし浅間大基が1位指名から洩れていれば、迷わず指名したい。
●セ・リーグ2位 阪神
日本シリーズ進出を決めた阪神は、有原の1位入札を表明している。藤浪晋太郎と有原がローテーションの柱に並び立つ――この想像ほど阪神ファンの気持ちを沸き立たせるものはない。抽選に負けたら、外れ1位候補は京大・田中英祐が面白い。少し前まで田中は3位くらいの選手だと思っていたが、ストレートの伸びは間違いなく一級品。関西の注目選手をみすみす他球団に持っていかれることはない。有原1位、田中2位なら文句はない。
打撃成績はマートン、ゴメスがタイトルを獲るほど活躍をしているのに、チーム本塁打がリーグ5位の94本とは意外だ。'10年以降、2位で一二三慎太、歳内宏明、北條史也、横田慎太郎と高校卒を指名しているので、本塁打不足を長期的に解消できる素材を今年も獲得したい。栗原陵矢は「強打の捕手」なので、獲得できれば捕手不足の阪神にとって一石二鳥の人材と言える。捕手以外では高浜祐仁、桑原樹、香月一也(大阪桐蔭)など内野手に手を伸ばしてもらいたい。
●セ・リーグ3位 広島
観客数が前年比21.7パーセント上昇した広島には“赤ヘルブーム”が再来したといっていい。この人気を一過性のものにしないためにも、実力者の獲得は必至。地元広陵出身の有原ほどこの条件を満たす選手はおらずく、球団もすでに1位入札を表明している。
チーム防御率がリーグ4位の3.79というのも有原獲得の追い風になる。有原の抽選に敗れた場合、無理して即戦力に向かう必要はない。エース前田健太の残留が濃厚なので、高校生の獲得に向かってもいい。
広島のスカウトに話を聞くと、かつて九州を球団にとって第2の地元と考えていた時期があったという。緒方孝市(鳥栖卒)、前田智徳(熊本工卒)という顔ぶれを見れば'80年代後半のことだと思うが、'89年に球界に参画したダイエーに遠慮したのか、'90年以降は目立った九州球児の獲得はない。「そろそろ考えていいかも」というのは広島スカウトの言葉。広島の補強ポイントの1つが捕手なので、清水優心の上位指名は十分考えられる。