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栗山英樹29歳が明かしていた…“結婚も考えた”恋愛エピソード、親友に“本気で止められた”野球挑戦…WBC名将の濃すぎる国立大時代
posted2023/06/25 11:05
text by
栗山英樹Hideki Kuriyama
photograph by
Naoya Sanuki
“まさかのプロ入り”に友人は…
大学時代の僕は野球部員である前に一人の大学生でしたから、勉強やスポーツだけでなく、遊びにも一生懸命でした。コンパで酔っ払うこともあったし、休みを利用して旅行やスキーに出かけたこともありました。もちろん、野球部員以外の友だちだってたくさんいたのです。
中でも、とくに仲がよかったのが、同じクラスでサッカー部にいた吉川清統と塚田和彦という二人の悪友。授業のないときは、たいていどちらかの下宿に行っており、よくそれぞれの田舎から送られてきた果物などをごちそうになったものです。クラブが違うので、お互いに好き勝手がいえるのが、意気投合した理由かもしれません。とにかく顔を合わせれば悪口のいい合い。
「オイ、ウチの野球部決勝でまた負けただろ。お前が試合に出てるから、ここ一番で勝てないんだよ」
「お前こそ自分のチームのゴールに間違ってシュートしたりしてるんじゃないの」
――といった具合です。
僕がスワローズに入ることになった時も、二人にかかると笑い話でした。一人が「お前が入団できるんなら、俺もテストを受けて一緒に入ればよかった」といえば、もう一人は「何かの間違いで、お前が一軍に上がってテレビに映ったら面白いな。体が画面からハミ出しちゃうよな」と、当時ブクブクと太っていた僕をこきおろします。
が、プロの入団テストを受けた当初は、二人とも真顔で反対してくれていました。その時点では、もちろん具体的に入団が決まっているわけではありませんし、彼らも入団できるとは思っていなかったでしょう。が、仮に何かの間違いでどこかのチームに入れたとすると、 僕にとって大変な苦労が待ち受けているのは明らか。そのことを案じてくれたのでしょう。 将来の話をするたびに「栗山、プロ野球は大変な世界だぞ」などと、僕の翻意を促してくれたものです。そして、僕の決意が固いことを知ると、きれいな言葉を使ったりすることはありませんが、積極的に僕を応援してくれるようになったのです。