ルーク・ショー獲得には新指揮官の意思が？

　おそらく今夏のユナイテッドは、近年稀に見るほどの変貌を遂げるだろう。

　ファーディナンドとビディッチが、チームを退団する事が決定。エブラも退団が噂されている。守備を支えてきたDFが一挙に3人も去るというのは、どんなクラブにとっても容易ならざる事態だ。チームを土台から作り直さなければならないことを意味するからである。しかも監督が代われば、指導体制にも相応の変化が生じると予想される。すでに現時点で、ギグス以外にも数名のコーチが新たに加わることが発表済みだ。

　だが個人的には、不安よりも期待感の方が遥かに大きい。先日にはサウサンプトンのイングランド人左SB、ルーク・ショーがユナイテッドへの移籍に合意したとする報道もあった。来シーズンに向けた補強が新監督の意向をまったく反映せずになされるとは考えにくいし、ベテランジャーナリストのトム・ティレルなどは、新監督への就任要請は、巷で報じられているよりも早い段階で始まっていたという見方を崩していない。だとするならば、ファンハールの下での再生計画は、サイドバックの獲得から始まったことになる。

生まれ変わる赤い悪魔は、魅力に満ちている。

　かつてGKを務めたファンデルサールは、正式発表がなされる前の時点で「僕が指導を受けた中じゃ、ルイ・ファンハールが一番の監督だった」と断言。　

　ファーディナンドも、次のように述べていた。

「彼はとてもタフで、ストレートな性格の持ち主のように見えるし、自分の方針を曲げたがらない。ユナイテッドのようなクラブでは、そうでなければいけないんだ。アヤックス、バイエルン・ミュンヘン、バルセロナ。彼は指揮をとった全てのクラブで、自分なりのやり方を貫いてきたような印象を受ける」と述べていた。

　たしかにオーウェンなどは

「（監督就任の）報道が本当だったら、現在のチームのメンバーはカルチャーショックを受けることになる」とツイートで警告したが、メディアも含めた現地の反応は概ね好意的だ。ユナイテッドを甦らせるためには、そのようなカルチャーショックこそが必要だからである。

　ファーガソンは27年に及ぶ在任期間に、5度のチーム改造を断行したが、ファンハールの監督就任は、そのいずれよりも大きい変化をもたらすはずだ。

　ギグスが監督としてチームを率いる姿には、捨て難い魅力があった。だがオランダ人監督の元で、生まれ変わるであろう赤い悪魔の姿は、それ以上の魅力と期待感に満ちている。