サッカーの尻尾BACK NUMBER
4-3の乱戦でバルサがクラシコ勝利。
マドリーを待ち受けた2つの“誤算”。
text by

豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAP/AFLO
posted2014/03/24 12:05

もみ合うセスク・ファブレガスとぺぺ。クラシコでは往々にして審判が主役となってしまうが、今回も試合後のコメントが審判に集中する事態となってしまった。
「ついに中盤でバルサを凌駕するか?」
しかし、4失点をしたマドリーに問題がなかったわけではない。
今回のクラシコ、鍵は中盤中央の勝負にあるといわれていた。バルサ戦では中盤の底にペペを配することが多かったモウリーニョとは違い、アンチェロッティはアロンソ、モドリッチ、ディマリアという攻撃的性質の選手を並べ、真っ向勝負に出た。
この3人は最近のマドリーの好調の最大の要因でもある。彼らが中盤で繋ぎ、ロナウド、ベイル、ベンゼマというアタッカーに好機を供給していく。「ついに中盤でバルサを凌駕するか?」そんな見方もあった。
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しかし、中盤中央の繋ぎと経験値ではバルサに分があった。ブスケッツ、シャビ、セスクに、イニエスタも絡んでくるバルサの中盤は、試合序盤から中央エリアを支配。イニエスタの先制点に繋がった攻撃も、開始したのは、本来は閉じておかなければならない中央からのものだ。
シャビは冒頭のロナウドの発言を受け「ロナウドは間違っている。単純にバルサは優位に立っていたし、マドリーより良かった」と誇った。マルティーノ監督も勝因を「彼ら4人のところで数的優位に立てたこと」とした。
モウリーニョ時代より強度が落ちたプレス。
縦への推進力とクロスの精度で結果を出したディマリアはともかく、中盤でモドリッチとアロンソが持ち味を出せなかったことは、アンチェロッティにとって想定外だったはずだ。守備面でもモウリーニョ時代と比べると、各エリアでのプレスの強度が一段階落ちていることをうかがわせた。
昨季まではGKバルデスの数メートル手前まで上がりプレスをかけ、中盤では前を向けないほどきつく相手に寄せていたが、このクラシコではそこまでの激しさは見られず。本来なら最も抑えなければならないメッシが中盤で前を向くシーンも多かった。相手のエースに3得点1アシストと仕事をさせたことが敗因のひとつだった。
クラシコを前に悲観論が強かったバルサだが、この勝利によって良い形でシーズン終盤戦へ挑めることになった。
メッシとイニエスタが主役としての働きを見せ、ファンには反対されていたマルティーノのネイマール起用も、セルヒオ・ラモスを退場に追い込むなど、結果的には当たることになった。まだ勝ち点差は1あるが、精神的にはマドリーよりもずっといい状態で残り試合に挑むことができる。