野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
オープン戦を追っかけたマニアに訊く、
セ・パ12球団「ウチのイチ押し」。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/26 10:31
昨シーズンの打率は.247ながら、出塁率で.353を誇っている丸。「今年は打ちにいくこと、振りにいくことを第一に考えたい。その延長で見極めて四球なら」と春季キャンプでコメントしている。
新戦力への期待感を膨らませるのがオープン戦の目的。
しかし過去10年を振り返ってみても、オープン戦優勝チームがペナントを制覇したのは'08年埼玉西武の1回こっきり。オープン戦での勝敗を鵜呑みにすることは愚の骨頂である。本気で勝ちに行って惨敗する以外は、だが。
オープン戦の本来の目的は開幕への調整と、若手にチャンスを与える場。なので勝敗どうこうよりも、今季誰が出てきそうか、目立った若手なり外国人なりを観て愛でるのがちょうどいい。
というわけで、このWBC期間にも球場へ通い、ちゃんとオープン戦を見ていた人たちに、今季のオープン戦の結果を踏まえた上でのイチオシ選手を挙げてもらおう。
東出が今季絶望の広島は“菊・丸”コンビの若さに期待。
総失点が総得点を上回りながらも2位と躍進した広島。
僅差のゲームをものにし勝負強さを見せた。キャンプでは東出輝裕が左膝前十字靱帯断裂で今季絶望、オープン戦では栗原健太が故障し開幕が危ぶまれる中、4番のエルドレッドが.353、4本塁打と好調。新1、2番コンビに指名された“菊・丸(菊池涼介・丸佳浩)”も、結果を残し、投手陣ではバリントンがオープン戦最多勝の4勝、ここ数年結果を残せなかった永川勝浩が9試合に登板し無失点と復活の兆しを見せている。
「私のイチオシは丸ですね。新井(宏昌)新打撃コーチの指導を受け、昨秋から取り組んできたフォーム改造がものになりつつあります。精神的にも強く、試合中から教えを請う大先輩の前田(智徳)の全盛期のように走攻守全てにおいて高いパフォーマンスを見せられる素材。個人的には1番か3番タイプだと思いますが、今季は2番で起用されることが濃厚。オープン戦では左への強い打球や盗塁意欲が増し、攻撃的な2番となる可能性を感じます。ただ、つなぎ役として状況に応じた自己犠牲の姿勢が今後の課題となりそうです」(「広島アスリートマガジン」編集長・前原淳さん)
アタリの新人と新外国人を擁するソフトバンクと楽天。
3位福岡ソフトバンクはドラフト1位の東浜巨がオープン戦3試合で好投、6位のアンダースロー山中浩史も防御率1.59で3勝を挙げ開幕ローテ入り。苦手の左投手克服が最大の課題と言われた新外国人ラヘアもここまではまったく左腕も苦にする感じもなく打率.345。そして期待の和製大砲・柳田悠岐が6本塁打を放ちオープン戦本塁打王、6年目の中村晃も打率.317、11打点とレギュラー争いに名乗りを上げる活躍。
4位楽天はルーキー則本昂大が5試合を3勝0敗、防御率1.44と星野監督を唸らせ文句なしの開幕ローテ入り。打者では新外国人のA・ジョーンズ、マギーが実力もさることながらその人間性も素晴らしいとコーチ陣からの評価も高い。