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<WBC準決勝解説> 桑田真澄 「侍ジャパンはなぜ敗れたのか」~試合を決めた意外な一球~
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/03/26 06:01
リオスの2ランにプエルトリコナインはお祭り騒ぎ。捕手・阿部はがっくりと膝を落とした。
アメリカの地にたどりついた侍ジャパンだったが、プエルトリコに屈した。
今回の日本代表を見つめ続けた桑田真澄氏の目には、どう映ったのか?
先発・前田が初回から制球に苦しみ、今大会初失点を許すと、7回には2番手・能見が2ランを浴び、差は3点に。日本打線は相手投手に手こずり、反撃は8回の1点に留まった。儚く散ったラストゲーム、桑田氏が「試合を決めた」と語るのは、意外な一球だった。
勝負というのは残酷です。
プエルトリコに完敗を喫して、日本の3連覇が潰えてしまいました。試合を決めた一球は、日本が0-1とビハインドで迎えた7回表、先頭の5番アービレイスに対して、2番手の能見が投げた3球目でした。
ツーナッシングから一球外しにいくはずのボールが甘くなって、ライト前へ運ばれます。高めにボール球をキッチリと投げておかなければいけない場面で、あまりにも軽率な一球でした。このヒットの直後、6番のリオスに決定的なツーランホームランを打たれてしまいます。
このアービレイス、初回に先制点を叩き出すタイムリーを日本の先発・前田から打っています。しかも詰まった当たりがセンター前に落ちた。そういうラッキーボーイ的な存在を軽率に考えるべきではありません。つまりあの能見の3球目は、防げた一球でした。
その一方で、日本のバッターは揃ってプエルトリコのピッチャーが投げるワンバウンドのボール球ばかりを空振りしてました。ストライクからボールになる変化球を振らせるというのは、日本のピッチャーがやらなければならないことだったはずです。低めのボール球に手を出すようなバッターじゃない内川までもが、珍しく低めのワンバンを振ってカウントを悪くしていた。