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世界最終予選で苦戦した女子バレー。
それでも五輪でメダルを狙える理由。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byJun Tsukida/AFLO SPORT
posted2012/05/28 11:45
ついに3大会連続となる五輪出場を決めた眞鍋ジャパン。今大会において金軟景(韓国)、ガモワ(ロシア)に続く多数のスパイクを決めたエース・木村沙織(写真左)と、チームの頭脳として活躍した竹下佳江(写真右)がお互いを祝福し合う。
では、どうすれば五輪本番でメダルを狙えるのか?
準々決勝の壁を破るには、予選リーグをギリギリの4位ではなく、3位以上で突破する必要がある。そのためには、世界大会4強レベルの国と対戦しても、その一角を崩せるだけの力が必要になる。
この点、眞鍋ジャパンは昨年のワールドカップで4位になっており、しかもこの時、2位になった米国には勝っている。現在、世界の先頭グループとは、イタリア、米国、中国という昨年のワールドカップの3強と、前回金メダルのブラジル、世界最終予選1位のロシア、そして日本と韓国だろう。
ここにセルビアを加えるべきかも知れないが、世界最終予選における、日本戦以外の試合内容を見ると、タイに敗れたり、ペルーに1セットを奪われたり、やや安定感に欠ける。
同様に、日本も昨年11月のワールドカップでブラジルや米国に3-0で勝ったかと思うと、世界最終予選では韓国に敗れている。この事実が、現在、世界の先頭グループがいかに実力的に接近しているか、表していると言っていい。
眞鍋ジャパンが世界の先頭グループに入れたふたつの理由。
2008年以降、眞鍋ジャパンが「世界の先頭グループ」に加わることができた要因としては、次の点を挙げることができる。
一つは、世界最先端の技術を持つ情報アナリストをそろえ、対戦相手の情報分析が充実、試合前だけでなく、試合中でさえも分析結果が随時生かされるようになったこと。
もう一つは、2008年から変わった国際公認球の特徴を研究、代表チームのサーブをジャンピング・フローター中心に変え、サーブ力では世界の最高峰になったことだ。
この2点は、確実にチーム力を向上させた。情報分析の成果は、例えばサーブの狙いどころや、ブロックの位置取りといったことに生かされるが、眞鍋監督が就任して以降、端末機器の進歩もあって、試合中のデータを、セットの合間ではなく、セットの最中にも監督の端末に送って、最も効果的な狙いを、どんどん変えていくことができるようになった。こういった情報分析の態勢は、世界のトップを争う国の間では抜きん出たものとまでは言えないが、決して引けは取らない。情報戦で負けるということは、なくなったと言える。