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世界最終予選で苦戦した女子バレー。
それでも五輪でメダルを狙える理由。  

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byJun Tsukida/AFLO SPORT

posted2012/05/28 11:45

世界最終予選で苦戦した女子バレー。それでも五輪でメダルを狙える理由。 <Number Web> photograph by Jun Tsukida/AFLO SPORT

ついに3大会連続となる五輪出場を決めた眞鍋ジャパン。今大会において金軟景(韓国)、ガモワ(ロシア)に続く多数のスパイクを決めたエース・木村沙織(写真左)と、チームの頭脳として活躍した竹下佳江(写真右)がお互いを祝福し合う。

 世界最終予選の最終日に切符を獲得するという苦しい戦いではあったが、バレーボールの女子日本代表は、ロンドン五輪への出場を決めた。今大会では、3年7カ月ぶりに韓国に負けるという苦い敗戦はあったものの、現在の女子日本代表、眞鍋政義監督率いる「眞鍋ジャパン」が、ロンドン五輪でメダル候補の一角を占めていることは間違いない。世界最終予選4位通過にもかかわらず、なぜそう言えるのか。世界における眞鍋ジャパンのポジションを見てみたい。

 アテネ五輪と北京五輪で、日本はともにベスト8止まりだった。それ以上、上位に行ける可能性は、あまりなかったと言ってよい。

 というのも、オリンピックの前年には、ワールドカップが行われる。アテネ五輪の前年、2003年のワールドカップで日本は5位だった。北京五輪の前年、2007年は7位。翌年のオリンピックで4強に残れなかったのは、順当と言えば順当だった。

アテネと北京の五輪では、「世界の第2グループ」の先頭だった日本。

 当たり前の話だが、オリンピックでメダルを取るには、少なくとも準決勝に進出しなければならない。「メダルをかけた試合」までたどりつくには、4強を争う「世界の先頭グループ」の仲間入りを果たす必要がある。

 アテネ五輪と北京五輪の頃、日本は「世界の第2グループ」の先頭を走っていたというのが実情だったように思う。ワールドカップやオリンピックで4強に入る国には、正直なところ歯が立たなかった。アテネの時は予選リーグでブラジル、イタリアに0-3、準々決勝で中国に0-3。北京では予選リーグでキューバ、中国に0-3、準々決勝でブラジルに0-3。どちらの五輪でも、日本は予選リーグをギリギリの4位で勝ち上がっていた。予選リーグ4位だと、事実上、メダルの可能性はほとんどない。それは、次のような事情による。

 オリンピックの出場枠は12カ国。まず、6カ国ずつA組、B組に分かれて予選リーグを行う。そして各組の上位4カ国、合計8カ国が準々決勝に進出する。準々決勝の組み合わせは、たすき掛けで「A組1位とB組4位」「B組1位とA組4位」という具合になる。このため日本は、準々決勝で、アテネの時は中国、北京ではブラジルという、いずれもその大会で金メダルを獲得するチームと対戦した。これでは、準々決勝を突破するのは難しいのである。

【次ページ】 では、どうすれば五輪本番でメダルを狙えるのか?

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