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「今思えば、それが遺言でした」急逝した高校バレー名将が最後に託した“小さな2人のキーマン”…逸材2年生エースを支えた常勝軍団・鎮西の結末

posted2026/01/14 11:01

 
「今思えば、それが遺言でした」急逝した高校バレー名将が最後に託した“小さな2人のキーマン”…逸材2年生エースを支えた常勝軍団・鎮西の結末<Number Web> photograph by Hiroyuki Nakamura

優勝した東山高校に準々決勝で敗れ、「高校3冠」を逃した鎮西高校

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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Hiroyuki Nakamura

今年も数々のドラマを生んだ春高バレー。大会前、話題を独占していたのは高校3冠が懸かっていた鎮西高校だった。しかし、よもやの準々決勝敗退――。監督との永遠の別れを乗り越えた指揮官と選手たちの本音に迫る。【NumberWebドキュメント全2回の後編/前編から続く】

「あれ、どうした?」

 1月6日、春高バレー2回戦。第2シードの鎮西にとって初戦となった愛工大名電戦。第2セットが始まって間もなく、エースの一ノ瀬漣(2年)が放ったスパイクが相手ブロックにもレシーバーにも当たることなく大きくアウトになった。その時、明らかな異変を感じた。

『当たり前のことを、当たり前に』
『いらないミスはしないこと』

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 昨年11月に急逝した畑野久雄監督が、何度も何度も繰り返し唱えてきた鎮西バレーの真髄だ。2年生ながらエースポジションを担う一ノ瀬は、まさにその教えを実践する選手だった。攻撃力の高さに加えて抜群の安定感と勝負強さを持つ一ノ瀬だからこそ、この1本に違和感を抱かずにいられなかった。

Wエース岩下の奮起

 コートにいた選手たちはなおさらだ。一ノ瀬と共に、鎮西の攻撃の要であるポジションを担った岩下将大(3年)が打ち明ける。

「一ノ瀬がずっと気負っていたんです。できているのに『できない』って言う。周りはそんなことないよと言うのに『自分のせい』と考えてしまうタイプだから自分で責任を背負っていたんだと思います」

 愛工大名電は北川祐介監督が立てた戦術を選手たちが完璧に近い形で遂行した。一ノ瀬がサーブターゲットになるのは当たり前で、そこからどう攻撃に入って、どのコースに打つことが多いかを分析し、ブロックとレシーブを配置する。第1セットは25対12で先取したが、8連続失点から始まった第2セットは19対25で愛工大名電に奪われた。優勝候補の大本命と目される鎮西が、いきなりセットを落とす展開に会場もどよめいた。

【次ページ】 「あの子はすぐポカする」厳しかった監督の評価

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