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「テレビの前で、泳ぎたくなかったとは言えない…」池江璃花子を重圧から救った言葉とは?<世界水泳13レース挑戦の舞台裏>

2023/09/05
8日間で13レースに挑んだ世界選手権が終わった。焦点をあてていた50mバタフライの決勝までの道のり、50m自由形予選後の号泣など、激しく揺れ動いた心情を語る。

 世界選手権が終わって、今は少し喪失感を覚えています。振り返ってみると、覚えていないことが多いのは、あまりにもたくさんレースに出たからかな。

 大会前は相変わらず自信はありませんでしたが、調子は悪くなくて、楽しみな気持ちの方が強かったです。会場の雰囲気もとても良かったし、国内での国際大会で観客がたくさんいて、ワクワクしていました。福岡では街中の広告に自分の写真が大きく使われていて、そんなに期待しないでほしいと思う反面、やっぱり嬉しさの方が優っていました。

 でもいざレースが始まってみると、初日の一発目の100mバタフライ(1バタ)の予選は、控え場所にいる時からずっと、自分でもよくわからないくらいものすごく緊張しました。入場して、観客の声援を聞いてウルウルと涙が出てきてしまうくらい。普段からすごく緊張はするんですが、今回は過緊張というかいつもと違う緊張で、言葉で説明できないくらいのものでした。

 緊張は自分がどう思っても勝手にするもので、コントロールできない。それは今までもずっと変わらないし、これからもそうなると思います。緊張することは悪いことではなく、むしろいいことだと思っているんですが、今回の過緊張は、レースが怖いという感情からではなく、多分一発目だからということと、100mの自信があんまりなかったからですかね。

 結局1バタは予選落ち(全体17位)してしまったんですが、今大会に向けてずっと50mの練習をメインにやってきていたので、1バタはもちろん大事だけど仕方ないと割り切っていて、そこまで大きなショックはありませんでした。直後に4×100mフリーリレーが続けてあったので、そこの切り替えはすごくうまくできたと思います。

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photograph by Asami Enomoto
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