ピッチを去ることを決めたのに、真夏のサン・セバスティアンにはたくさんのシルバがいた。
魔術師と言われた男、ダビド・シルバは引退を決意した。最後のチャンピオンズリーグに挑もうとしていた開幕直前、その前十字靭帯はあっさりと切れた。直後に引退を決めたのは、37歳という年齢で歩むことになる復帰への道がいかに険しいのかを誰よりも知るからだ。
突然のさよならを受け入れきれないのか、新たな選手を見つける時間がなかったのか、多くのファンがシルバのユニフォームを着て開幕戦に訪れた。スタジアム脇の木の下にぽつんと座っていた男は「新しいものを準備する時間もなかった」とつぶやいたが、たぶんこれからもその古びた一枚をまとい続けるだろう。
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