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[再び夢舞台に]池江璃花子「運命のリスタートを切って」

2021/07/29
生涯最大の試練を乗り越え、2度目の大舞台に立った日本のエース。目標の決勝進出は果たせなかったが、地元東京で、再び世界へと歩み始めた。

 スタート前、くちびるを真一文字に引き締めた。集中力を高めて飛び込んだ。ひとたび泳ぎ終えると、仲間を見つめて柔らかな笑み。まばゆいライトに照らされた東京アクアティクスセンターのプールで、池江璃花子が力強く泳いだ。

「'16年リオ五輪のときもそうでしたが、入場した瞬間に『こんなにキラキラしている会場はみたことがない』と思いました。今回もそれと一緒で、またこの舞台で泳げるんだ、素直にうれしい、すごく幸せ、そう思いました」

 7月24日の競泳女子4×100mフリーリレー予選。白血病から奇跡の復帰を果たした池江は、日本チーム(五十嵐千尋、池江璃花子、酒井夏海、大本里佳)の第2泳者として登場。第1泳者の五十嵐からの引き継ぎタイムながらチーム最速の53秒63で第3泳者の酒井につないだ。ただ、最終泳者の大本の追い上げもかなわず、日本は3分36秒20で予選全体の9位。決勝進出はかなわなかった。

「隣といい勝負をしてきていたので、良い流れでつなぎたかった。最後に離されてしまったのが悔しかった。自分の力を10割出せたかと言われたら、10割は出せていなかったと思う。やっぱり最後はきつくて体も動かずにゴールタッチをしました」

 自分に厳しい池江だけに反省が口を突くが、五輪という大舞台から受けた刺激はやはり大きかったようだ。

「自分の中では、個人で考えたらあまり良いレースはできていなかったと思うのですが、それでも、世界の舞台で戦うということのプレッシャーだったり、周りの雰囲気に圧倒されたことだったり、感じたことがありました」

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photograph by Itaru Chiba

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