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【インタビュー】「いつまで苦しめばいいんだろうって」池江璃花子が振り返るパリ五輪の“後悔”と「4年後が楽しみだと思える自分」《連載最終回》

2024/09/08
最終回を迎えた池江璃花子さんの連載
パリ五輪本番。9日間を泳ぎ切る中で生まれた悔しさをまた次への糧にして前を向く彼女は、4年前とは別人に映った。絶望を希望に変えた4年間のダイアリーの最終回に語った言葉とは。

 五輪本番前は、とても調子が良くて、いい状態でした。唯一の個人種目の100mバタフライ(1バタ)で必ず56秒台は出ると思っていたし、トレーニング内容からすると55秒台が出てもおかしくないような練習がずっとできていたんです。

 ボールコーチはオーストラリアの代表コーチなので、フランスに入ってからは練習やアップを見てもらうことはできなかったんですが、携帯で動画を送ったりしてコミュニケーションはずっと取っていました。

 予選前日の夕方には少し緊張していて、当日朝起きてからまた緊張し始めて……。でも同時に、レースに行くまではすごくワクワクしていて、とにかく楽しみでした。

雰囲気に圧倒され、体がガチガチになってしまい…。

 大きな会場にはいっぱいのお客さんで、すごい盛り上がりでした。いざ予選のスタート台に立つと、その雰囲気に圧倒され、緊張が勝ってしまったんです。去年の福岡の世界選手権とは比較にならないくらい。体がガチガチになっていました。

 レースプランは、前半から速く入って、後半耐える。でもレース中、自分の泳ぎをしている感覚はなかったです。前半から行っていないのに、後半バテてしまった。力んでいたんでしょうね。

 タッチして、7番の数字が見えて、あ、終わった、と思いました。やばい、やっちゃった、と。でも自分の中では頑張ったつもりだったので、なんでこんなにタイム(57秒82)が遅いのかがわからなくて。結局全体の14番目でギリギリ準決勝に残れて、胸を撫で下ろしました。

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photograph by Asami Enomoto

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