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「勝手をするな!」「ダメになったら責任取ってくれるんですか」西本聖が球界初の“独自調整”を貫いたワケと、伝説の「足上げフォーム」誕生秘話
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元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byKYODO
posted2026/08/01 11:03
誰よりも投げ込みをした西本だが、当時としては先進的なコンディショニングも行い、個性的なフォームを作り上げた。そのプロ根性はどこから来たのか
「よく『勝手なことをするな』みたいなことは言われましたけど、その時に言いましたよ。『あなたの言うことを聞いてだめになったら、責任を取ってくれるんですか』と。『俺の面倒を一生見てくれるなら、指示に従いますけど』と。それ以来、何も言われなくなったので、好きにさせてもらいました」
自分のコンディションは自分でつくる——西本はそれを貫いた。身長180センチを超える速球派の江川と、170センチ台の西本では体のつくりが違う。鍛え方も整え方も同じでいいはずがない。
「僕たちプロ野球選手は個人事業主です。すべての責任は自分でとるしかない。トレーニングコーチに『これをやれ』と言われて納得できるならやればいいし、そうじゃないなら自分のやり方でやるほうがいいでしょう」
西本ならではのサバイバル方法
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もうひとつ、西本ならではの鍛錬法があった。それは、内野手と同じようにノックを受けることだ。
「ピッチャーはピッチャーだけでノックを受けることがありましたが、それほど多い数ではありません。僕は守備にプライドを持っていたのでもっとうまくなりたかったし、ノックを受けることで下半身が鍛えられるだろうと思いました。ゴロを捕る時には重心を落として、ひざをやわらかく使わなければいけないから。
ある時、コーチにお願いしたのですが、試合前はダメだと断られました。野手には野手の練習があるからと。そのうち、練習が終わる10分前に来たらいいということになりました。野手の練習終わりを待っている時に『西本は目立ちたいんだな』と言われたし、そんな記事も書かれましたが、まったく気になりませんでした」
プロであるためには周囲に認めさせるだけの成績を残し続ける必要がある。結果がすべての世界で西本がたどりついた答えだった。
もうひとつ、プロとして求められるのが個性だ。
野球漫画の『巨人の星』の主人公・星飛雄馬ばりに前足(右投手の西本は左足)をピンと高く上げるフォームが話題を集めた。
「足を高く上げるために、相当、下半身を鍛えました。バッターのタイミングを外すために、ちょっと調子がよくない時に気分を上げるためにやりました。左足をいつも以上に上げることで軸足である右足に体重が乗るようになるので、タメをつくりたい時にも、ね」
「投げろと言われたところで投げる」タフさと気持ちの強さ、シュートという武器を携えながら、西本はプロ野球の荒波を渡っていったのだ。
〈つづく〉


