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マリニン陥落「団体金が悲劇の前菜」「五輪史に残る波乱」イタリア各報道が生々しい…鍵山優真を指導コストナーは慮り「ラスト3人はさぞ重圧に」
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byTakashi Yuge
posted2026/02/15 11:45
世界に衝撃が走ったマリニンのフリー。イタリア紙はどう報じたか
「誰も予想しなかった結果だ。でも、フィギュアスケートはこういうものだ。最高の選手でもミスは起こる」
誰もがこうなると確信していたことが実際にはそうならなかった。
コストナーは慮り「最後の3人はさぞ重圧に」
「それこそがオリンピックの真髄だと思います」
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2014年ソチ五輪銅メダリストのカロリーナ・コストナーは、マリニンの心情を慮りながら努めて冷静に語った。
「マリニンの演技失敗は、フィギュア界全員にとって大きなショックともいえます。五輪の巨大なプレッシャーはしばしば運命の悪戯の呼び水になりますから(マリニン含む)最後に滑った3人はさぞ重圧に苦しんだだろうなと。私にも似た経験がありますが、これほど大きな失望の直後に気持ちを和らげてくれるものなど何一つありません。彼の再出発には時間が必要だと思います」
06年トリノ大会から18年平昌大会まで冬季オリンピックに4大会連続出場したコストナーは、五輪の酸いも甘いも噛み分けたイタリアフィギュア界の第一人者だ。鍵山優真のコーチである彼女は、銀メダリストになった教え子への言葉を続けた。
「『この結果を得られてよかった』と彼には言いました。(日本の)選手たちは全員ができることを精一杯やったとわかっています。(金メダルは獲れずとも)人生では起きてしまったことをあるがままに受け入れることも時には必要です。その上で今夜、何ができて何がうまくいかなかったのか、演技内容をくわしく分析したいですね」
コストナーは転倒もあった鍵山の演技終了直後こそこわばった表情だったが、教え子の表彰台が確定した後は晴れやかな笑みを浮かべた。
メダルラッシュの中、“敗者”に紙面スペースは…
開催国イタリアは13日までに18個のメダルを獲得しており、冬季五輪1大会での同国メダル獲得数最多記録「20」の更新へ一丸となっている。
いかに男子フィギュア競技が大会の華の一つとはいえ、自国のアスリートたちが期待をはるかに上回る活躍ぶりとあれば、地元メディアとしては“敗者”に紙面のスペースを割くことは難しい。
王よ神よと崇められながら、負ければただの人。
五輪ホスト国のメディアは、ひとりの若者に戻ったイリア・マリニンに冷酷な現実を突きつけた。〈五輪特集:つづく〉

