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「100%出し切れなかった」坂本花織とアリサ・リュウの勝敗を分けた“たった一つの差”…銀メダル獲得だけではない、最後の五輪で見えた“本当のスゴさ”
posted2026/02/20 17:04
ミラノ五輪女子シングルで銀メダルを獲得した坂本花織
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
演技を終えた瞬間、よぎったのはどんな思いだったか……。
2月19日、フィギュアスケート女子フリーが行われ、坂本花織は銀メダルを獲得した。
演技を終えて、場内の歓声に笑顔で手を振る。
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リンクから上がると、出迎える中野園子コーチに抱きしめられる。涙がこぼれる。その瞬間から、得点が出た後まで、声援に笑顔で応えつつ、悔しさはどうしてもにじみ出ていた。
「力を最後まで100%出し切れなかったのが悔しいです」
勝敗を分けた“たった一つの要素”
銀メダルで終えた試合後、涙が止まらなかった。
表彰式に金メダルのアリサ・リュウ(アメリカ)、銅メダルの中井亜美とともに臨む。2人を笑顔で祝福し、場内にも笑顔で応えながら、ふとした瞬間に、悔しさが表情に表れる。
フリーの得点は147.67点。ショートプログラムとの合計は224.90点で銀メダル。優勝したアリサ・リュウのフリーは150.20点、合計は226.79点。フリーのリュウと坂本の得点差は2.53点、合計では1.89点。
僅差での、わずかな点差での銀メダルだった。
その中で勝負を分けたポイントはたった1つ。
後半に予定していた3回転フリップ-3回転トウループの連続ジャンプの2つ目が跳べずに、3回転フリップの単独ジャンプになったこと。
3回転フリップ-3回転トウループの基礎点は、後半なので1.1倍になり、10.45点。だが単独ジャンプとなった上に、前半すでに3回転フリップを跳んでいて繰り返しとなったことで、基礎点は70%に下がる。つまり3回転フリップの基礎点から30%を失い、4.08点。この段階で、6.37点を失ったことになる。
これが成功していれば、10.45点に加点されて、より大きな点数になっていた。
坂本はショートプログラム2位、リュウは3位。リュウの好演技があったことを前提としつつも、逆転を許したのは、そこに原因があった。


