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マリニン陥落「団体金が悲劇の前菜」「五輪史に残る波乱」イタリア各報道が生々しい…鍵山優真を指導コストナーは慮り「ラスト3人はさぞ重圧に」
posted2026/02/15 11:45
世界に衝撃が走ったマリニンのフリー。イタリア紙はどう報じたか
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Takashi Yuge
「マリニン陥落。人間の身に堕ちたフィギュア界の神」(『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙)
「自滅したマリニン。氷上に溶け消えた金メダル」(『コリエレ・デッラ・セーラ』紙)
13日夜(イタリア現地時間)に行われた男子フィギュアスケート個人決勝で、大本命だったイリア・マリニン(米国)はまさかのフリープログラム失敗により金メダルを逃した。
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翌日、開催国イタリアの主要メディアは世紀の大番狂わせを冷酷に伝えている。
団体金は悲劇を引き立たせる“前菜”に
「マリニンは己の才能と肉体に多くを求めすぎた。最初のクワッド・アクセルに失敗した後、トゥループとルッツで壊滅的なミスをくり返し、ジャンプに締まりがなく、ぎこちない繋ぎに終始した。残骸の積み重なる丘で力なく振られる白旗のようなバックフリップは得点にならず。今となれば、団体戦の金メダルはこの悲劇を引き立たせるためのアンティパスト(前菜)だったようにすら思えてくる」
一般有力紙『コリエレ~』は敗者となったマリニンを容赦なく辛口で評した。
「7回も4回転ジャンプに固執し、5回転にすら挑もうとしているマリニンの限界を越えようとする姿勢はライバルたちにも(正負の)影響を与えており、彼らは昨夜軒並みミスを連発した。これは最早フィギュアスケートではなく曲芸の類ではないのか。フリープログラムのマリニンはほとんど“裸の王様”だった。最大のスターの自滅に米国チームのショックも大きい」
ただし、同紙は競技後に米国NBCからコメントを求められたマリニン本人のか細い声も丹念に拾っている。
「こんなことになるなんて思ってもみなかった。この五輪に臨む準備が完璧にできているという感触もあった。でも、もしかしたら自分のことを過信していたのかもしれません……“必ずうまくいく”と信じきっていた。何が起きたのか、今はうまく理解できません」
五輪イタリア勢、モドリッチが大々的に紙面を飾る中で
波乱の末に金メダルを獲得したミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)や表彰台を分け合った鍵山優真と佐藤駿の日本勢より、報道の関心は“マリニン金メダル逸す”に集中した。ただし、イタリア最大手スポーツ紙の『ガゼッタ~』は、一敗地に塗れた“クワッド・ゴッド(4回転の神)”にそっぽを向いた。

