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「心臓が止まるかと思いました」五輪最終選考直前、脱臼の危機…“りくりゅう”三浦璃来&木原龍一はいかに乗り越えたか「絶対に僕達は成長してる」
posted2026/02/15 17:00
ミラノ五輪フィギュア団体戦でショート、フリーともに最高の演技で日本の銀メダルに貢献した“りくりゅう”三浦璃来&木原龍一ペア
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Sunao Noto / JMPA
発売中のNumber1137・1138号に掲載の[悲願の金メダルへ]三浦璃来&木原龍一「4年間の思いを込めて」より内容を一部抜粋してお届けします。
五輪最終選考でのハプニング
ミラノ・コルティナ五輪の最終選考となる全日本選手権のショート、その6分間練習でハプニングは起きた。
「スロージャンプの助走に入った時につまずいて、その拍子に左肩の一番弱い角度に力が加わってしまい、外れてしまいました」(三浦璃来)
手を繋いでいた木原龍一も言う。
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「『え、これで抜けたの?』という感じで、心臓が止まるかと思いました。予想していなかったので瞬時に対応できませんでした」
三浦は6分間練習を切り上げ、リンクサイドにいたトレーナーのもとへ行った。
「信頼しているトレーナーさんがいてくださったので、脱臼した肩を入れ直してもらいました」
2022年夏の古傷。再発防止のトレーニングは入念に行っていたはずだった。
「結構気をつけていたので、今季初めての脱臼です」(三浦)
不安の渦に巻き込まれそうになった2人は、1年前の経験を思い出した。昨季のGPファイナルだ。フリーの公式練習で三浦が脱臼し、気持ちが混乱したまま試合に臨むと、スロージャンプ2本だけでなく、ソロのジャンプでもミスを重ねた。結果、フリーは3位。自分たちの良さを発揮出来なかった。
怪我のハプニングがあったとはいえ、なぜあそこまで崩れてしまったのか。その原因に木原は思い至った。
「その前の'23-'24シーズンに、僕が腰椎分離症になり、世界選手権で2位だったことを、まだひきずっていました。そのせいで『もっと完璧にこなさないと』と自分の目標設定が高くなりすぎていたんです。普通の精神状態だったら、三浦さんが怪我をしたら『僕がカバーしよう』と思えるのに、動揺を抑えきれず、相手を支えられない自分にイラついていました」
2人がいつもの関係を取り戻したのは、同年の全日本選手権後。“2人で滑れるだけで幸せなんだ”という初心に返り、'25年世界選手権では王者に返り咲いた。
「あのときの経験を思い出して、僕達にはそこから1年積み重ねてきた経験があると思い直しました」(木原)
アクシデントを乗り越え、演じきった渾身のショート
三浦が脱臼した直後、ショートの滑走順は2番目だった。5分程度しか待ち時間はない。名前を呼ばれ、スタートの位置に立つと、木原は三浦に話しかけた。

