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フィギュア団体“アメリカの誤算”「マリニンを2回出すしかなかった」選手起用に見えた日本の強烈なプレッシャー…選手たちが明かした“日本チームの舞台裏”
posted2026/02/09 17:33
フィギュア団体で銀メダルを獲得した日本チーム
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto / JMPA
死闘だった。
2月8日、フィギュアスケートの団体戦が終了。日本は銀メダルを獲得した。北京五輪に続いての同じ色のメダルだが、過程は異なる。前回は試合終了時点では銅メダル、その後ロシア(ロシア五輪委員会として出場)のドーピング違反により繰り上がりでの銀メダルであった。
だから坂本花織は団体戦へ向けての抱負の中で「今度は本当の銀メダルを、そしてそれ以上を」と語っていた。その言葉を現実のものとした。
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順位は男子・女子・ペア・アイスダンスの各カテゴリーごとに1位から10点、9点とポイントが付与され、予選・決勝を通じての合計点で決まるが、優勝したアメリカとのポイント差はわずか1。どちらが勝ってもおかしくない、拮抗した勝負が最後まで続いた。
日本とアメリカの“一騎打ち”に持ち込めた理由
まずは予選。スタートはアイスダンスのリズムダンス。日本は吉田唄菜/森田真沙也がクリーンに滑ると、ペアのショートプログラムで三浦璃来/木原龍一が自己ベストを上回る高得点でトップ、続く女子のショートプログラムでも坂本花織がシーズンベストでやはりトップ、日本は2位で2日目に進むとともに、アメリカとの一騎打ちへと持ち込んだ。
団体2日目にはまず男子のショートプログラムが行われ、鍵山優真が会心の演技を披露する。中でもステップは、滑らかなスケーティングの上に難度の高いターンや細かな技を音にぴたりと合う形で織り交ぜ、場内を沸かせ、GOE(出来ばえ点)はジャッジ9人の全員が満点にあたる+5と驚異的なパフォーマンスを見せる。続くイリア・マリニン(アメリカ)を上回りトップ、そしてアイスダンスのフリーダンスを経て最終日を迎えた。
最初の種目はペアのフリー。三浦/木原は自己ベストを更新、しかも世界歴代3位の高得点でトップ。続く坂本も、3連続ジャンプが2連続になるなど予定通りの演技にはならなかったが高得点でやはりトップ。この時点で日本とアメリカは59ポイントで並んだ。
最終種目は男子フリー。マリニンの200点台の演技を受けて、佐藤駿が登場する。
重圧はあっただろう。やや緊張の面持ちでスタートポジションに着く。だが曲が変わると、それを微塵も感じさせない。佐藤の武器とする4回転ルッツを完璧に決めると、その後はシーズンベストと言える演技を見せて自己ベストを更新。マリニンには及ばなかったが、チームの銀メダルに貢献した。


