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「お前、トレードらしい」新聞で知った〈巨人→近鉄→巨人〉衝撃の“出戻りトレード”舞台裏「3度の戦力外、4球団に移籍」異色右腕・三澤興一のいま
posted2026/01/28 17:01
近鉄から再び古巣・巨人へ“出戻りトレード”が決まり会見する三澤さん
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
SANKEI SHIMBUN
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2001年6月、三澤さんは2対2の交換トレードで巨人から近鉄に移籍した。「当時は、自分はジャイアンツに必要ないのかと寂しい思いだった」という電撃トレードだったが、その悔しさを力に変えてくれた言葉があった。
新天地の近鉄で7月下旬に一軍昇格した時のこと。大阪ドーム(当時)の廊下で、当時投手コーチだった故・小林繁さんに声をかけられた。
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「小林さんから『頑張れよ。お前を獲るの、大変だったんだぞ』という言葉をかけられたんです。最初は自分はチームに必要とされていないからトレードされた、という寂しさがあったのですが、その一言で考え方が変わりました。自分を必要としてくれる人がいたからトレードが成立したんだ、と」
「いてまえ打線」を支えた移籍組投手陣
三澤さんの心に火がついた。7月30日のロッテ戦に3番手で移籍後初登板。1死満塁のピンチを抑えると味方が逆転して勝利投手となり、いきなり本拠地のお立ち台に上がった。「近鉄の一員としていい仕事ができました」。浪速のファンから歓声を受けてベンチに戻ると、待っていたチームメートから笑顔の祝福を受けた。
近鉄はこの年、ダイエー、西武との熾烈な優勝争いを制して、1989年以来12年ぶり4度目のリーグ優勝を果たす。「いてまえ打線」を陰で支えた投手陣には移籍組が多かった。同じ巨人からトレード移籍していた香田勲男、石毛博史の両投手。関口伊織投手(前横浜)、門倉健投手(前中日)もトレード先の新天地で優勝の原動力となった。
「そういう点で居場所があったというか、やりやすさはありました。勢いのあるチームに入って、一緒に戦えたことが嬉しかった。激動のシーズンではあったけれど、優勝を経験して報われたような喜びがありました」
「お前、トレードらしい」
その後球界再編問題で球団が消滅することになる近鉄バファローズとして、これが最後のリーグ優勝でもあった。


