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「天才」「エリート」世間の賛辞には戸惑うが…“19歳離れ”した日本代表新星MFの自己コントロール術「考えても無駄、と」「監督も人間なので」
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2026/01/19 17:03
北中米W杯メンバー入りも期待される佐藤龍之介は、現在U-23アジアカップで活躍している
昨シーズンはFC東京から育成型期限付き移籍でファジアーノ岡山に加わると、チームの中心として君臨。クラブ史上初めてのトップカテゴリーで、残留を果たす原動力となった。
ただ、経歴だけを見て「すごい」と考えるのは尚早だ。
もちろん、プロ契約を結んだ高校2年の8月までは比較的順調なキャリアを送れていた事実については、佐藤も否定はしない。
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「試合に負けて悔しいとか、小さい悔しさはたくさんありましたけど、中学校のころまでは大きな挫折とかはなかったので。良い思いをしながら育ってきたかなと思います」
実際、FC東京でプロ契約を結んだ際の記者会見では、当時16歳ながら、長友佑都にも話しかけに行くような物おじしない姿がGMから紹介されるなど、大きな期待と注目が集まった。
プロ2年目までのプレー時間は“47分だけ”
しかし、である。佐藤はそこから苦しい時間を過ごすことになった。
プロ初年度はリーグ戦に出場できず、2年目のリーグ戦出場も3試合だけ。しかも、ピッチに立っていた時間は合計でわずか47分だった。
「試合ができない悔しさだったり、良いプレーをしても序列がなかなか変わらなかったり。それがプロの世界では当たり前ではありますけど……。自分の実力不足とはいえ、大事な、高校3年生の時期に試合に出られない焦りなどは、プロ2年目のときには感じていました」
そのままFC東京のU-18に残っていれば、エースとして多くの試合に出て、多くのゴールを決めていたはずだ。しかし、同年代の選手たちよりも1年4カ月も早くプロの舞台に飛び込んだからこそ、壁にぶつかった。とりわけ、プロ2年目、同級生が最高学年としてU-18世代のピッチで暴れまわるのを横目に、試合に出られない時間が圧倒的に長い日々を送らないといけないのはしんどかった。
「もちろん、プロ契約を結んだからといって、すぐ試合に出られるなんて1ミリも思っていなかったです。僕、そこまでバカではないので……」
佐藤は笑みを浮かべながらそう話すが、厳しい時間を過ごしていたのは本人も認めるところだ。
「考えても無駄だな」「監督も人間なので」
では、一体、この時期の支えになったのは何だったのか。
佐藤はうそぶきながら、こう話す。
「温泉とサウナに入って、良いご飯を食べて……それで、忘れていました。考えても無駄だな、と思って」
もちろん、その話には冗談が混ざっているわけだが彼の強みは「考えても無駄」だというマインドを“一時的に”持てることだ。

