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「天才」「エリート」世間の賛辞には戸惑うが…“19歳離れ”した日本代表新星MFの自己コントロール術「考えても無駄、と」「監督も人間なので」
posted2026/01/19 17:03
北中米W杯メンバー入りも期待される佐藤龍之介は、現在U-23アジアカップで活躍している
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Masashi Hara/Getty Images
いつの間にか日課になった「公園、走りに行くぞ!」
「公園へ走りに行くぞ!」
父から声がかかり、兄と弟を含めて4人で自宅近くの公園へ行く。それが佐藤家の日課だった。
昨年6月に18歳にして日本代表デビューを飾り、現在カタールで行なわれているU-23アジアカップでは10番を背負い、チームをけん引している佐藤龍之介の話だ。
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きっかけは、小学校のマラソン大会に参加する兄の特訓のためだったと記憶している。どういうわけか、そこに佐藤も参加することになった。そして、いつからか弟も加わり、佐藤三兄弟と父親との特訓が日課になったのだ。
実家のある西東京市には早稲田大学のキャンパスやグラウンドなどの施設があり、多くの部活がそこで日々、汗を流している。その近所には彼らも走れるような公園があり、園内の池の外周はおよそ1.6キロ。そこを2~3周走るのが佐藤家の日課だった。
長距離走が得意なタイプだった兄とは4歳も離れているから、一緒に走っている時期に勝てた記憶はない。それでも、特訓をやめようと思わなかったのは、さりげなく目標設定をしてくれる父の掛け声があったからだろう。
「今日の目標は〇〇秒だぞ!」
父や兄に勝ちたいが、それは簡単ではない。ただ、自分との戦いには勝てる。自分との戦い=タイムを短縮させるときの喜びは佐藤も感じられた。それが父の狙いだったのかもしれない。
「そういう記録を伸ばすのは好きだったので。あとは、毎年、おじいちゃん、おばあちゃんの家へ行った時などは、近所の学校の周りを走るときのタイムを測って……」
めちゃくちゃ走っていたのは大きいと思います
小さい子が祖父母の柱に背中をあてて、身長がどれだけ伸びたのかをマーキングしていく。そんな経験のある人は少なくないはずだ。佐藤家の場合は、それと似ていながら、少し異なる習慣があった。岐阜にある祖父母の家を訪れるたびに、どれくらいタイムを短縮できたのかを記録していったのだ。帰省の度にタイムが縮まっているのが一目でわかる。それも佐藤少年が彼らに会いに行く際の楽しみの一つだった。
「父は別に走るのが好きなタイプではないんですよ。だから、僕たちを教育するために、そういう形で自然とトレーニングをさせてくれていたのでしょうね」
だから、佐藤は感謝を口にする。

