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「森保さんすごいな…」堂安律も驚いた「伊東純也シャドー起用」名采配の真相…森保一監督がいま明かす“ブラジル戦、歴史的勝利のウラ側”
posted2025/12/30 11:11
NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(57歳)
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Asami Enomoto
◆◆◆
森保ジャパン伝説にまた新たな1ページが加わった。
2025年10月14日、日本対ブラジル――。前半はブラジルにボールを持たれて2点のリードを許したが、後半開始から猛烈なプレスをかけて反撃。南野拓実、中村敬斗、上田綺世がゴールを決め、3対2で逆転勝利を果たした。
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日本がブラジルに勝利するのは史上初めて。あくまで親善試合ではあるが歴史的な快挙だった。
後半開始からのマンツーマン・ハイプレスなどさまざまな勝因があげられるが、後半9分からの「伊東純也のシャドー起用」も勝因のひとつだろう。
後半7分、日本はハイプレスで相手DFのミスを誘発させて1点を返していた。その2分後、森保一監督は反撃の勢いを加速させるべく、久保建英に代えて伊東を投入する。
このとき多くの人が、伊東は右ウイングバックに入り、右ウイングバックでプレーしていた堂安律が右シャドーに移動すると予想しただろう。過去にその配置で成功してきたからだ。
たとえばカタールW杯初戦のドイツ戦後半に3−4−2−1に変更した際、後半30分から堂安が右シャドー、伊東が右ウイングバックに入った。日本はその直後に2点を奪い、逆転勝利を手にした。
カタールW杯第3戦のスペイン戦では後半から堂安を投入し、同じように堂安右シャドー、伊東右ウイングバックの形にし、後半開始から2点を奪って逆転した。
「堂安=内、伊東=外」が、森保ジャパンの「逆転を生み出す配置」だった。
ところが、このブラジル戦において、森保は2人の配置を入れ替えたのである。森保監督は伊東を右シャドーに入れ、堂安に右ウイングバックにそのまま留まるように指示した。SNSは「なぜ?」という驚きの声で溢れた。
堂安が証言「(采配が)すごいな」
そして、この「堂安=外、伊東=内」の采配が見事に的中する。
後半17分、ゴールキックの流れからシャドーの伊東に縦パスが入り、伊東がワンタッチで右サイドライン側にいた堂安にパス。すぐさま伊東が前へ走り出すと、堂安が浮き球のパスを裏へ出した。
伊東は右サイドで抜け出すと、しっかり中央の動きを見て右足でクロス。ファーサイドで待っていた中村敬斗が右足で合わせ、同点弾が決まった。

