誰も知らない森保一BACK NUMBER
「歴史的采配ミスと言われたかも…」森保一監督が語る“なぜ望月ヘンリー海輝を起用したか”…ブラジル戦勝利の真相「コーチから“別の提案”もあった」
posted2025/12/30 11:12
NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(57歳)
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Asami Enomoto
◆◆◆
ブラジル戦の後半、森保一監督は「水漏れ防止」を重視し、堂安律を右ウイングバックから動かさず、伊東純也を右シャドーの位置で投入した。
「うまくいっているときは守備を変えない」
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守備の隙をつくらないのが森保流である。
だが、そういう話を聞けば聞くほど、ある疑問が深まってくる。後半40分、なぜ大卒2年目の望月ヘンリー海輝を投入したのだろう?
日本は3対2でリードしており、史上初のブラジル戦勝利が目前に迫っていた。
守備力を高めるために、右ウイングバックの堂安を交代させることに疑問の余地はなかった。堂安の守備力はブンデスリーガで飛躍的に高まっているとはいえ、もともと攻撃的な選手だ。85分間プレーして疲れも見られていた。試合終盤、右ウイングバックにDFタイプを投入するのは定石と言えた。
しかし、堂安の代わりに投入された望月は、まだ経験が浅い選手なのだ。2025年7月のE-1選手権で日本代表にデビューしたばかり。9月のアメリカ戦ではMLSでプレーするマックス・アルフステンに簡単にかわされてクロスをあげられ、失点の原因になった。
ブラジル戦のベンチには右サイドバックが本職の橋岡大樹、センターバックの瀬古歩夢と安藤智哉、そしてベテランの長友佑都もいたのだ。普通の監督ならもっと「アンパイ」な起用をしたに違いない。
実際、森保がベンチでコーチたちに意見を求めると、コーチたちは他の選手を提案したという。それでも森保は望月を選んだ。
「批判? まったく気になりません(笑)」
この大胆な起用について問うと、森保はまず「親善試合論」について語り始めた。
「勝ちにこだわると常に言い続けていますし、どの試合でも最も大事なことです。ただ、W杯に向けてもうひとつ大切にすべきはプロセスです。W杯までの試合において、何ができて、何ができなかったかを1回1回積み上げていかなければならない。


